小田原市議会 > 2020-09-16 >
09月16日-05号

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  1. 小田原市議会 2020-09-16
    09月16日-05号


    取得元: 小田原市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-03
    令和 2年  9月 定例会         令和2年          小田原市議会9月定例会会議録(第5日)令和2年9月16日-----------------------------------出席議員(27名)         1番     安野裕子議員         2番     鈴木敦子議員         3番     清水隆男議員         4番     小谷英次郎議員         5番     荒井信一議員         6番     金崎 達議員         7番     宮原元紀議員         8番     池田彩乃議員         9番     角田真美議員        10番     鈴木和宏議員        11番     鈴木美伸議員        12番     杉山三郎議員        13番     川久保昌彦議員        14番     俵 鋼太郎議員        15番     奥山孝二郎議員        16番     楊 隆子議員        17番     神戸秀典議員        18番     篠原 弘議員        19番     井上昌彦議員        20番     大川 裕議員        21番     武松 忠議員        22番     木村正彦議員        23番     鈴木紀雄議員        24番     横田英司議員        25番     岩田泰明議員        26番     田中利恵子議員        27番     加藤仁司議員-----------------------------------説明のため出席した者  市長            守屋輝彦君  副市長           鳥海義文君  副市長           玉木真人君  教育長           栢沼行雄君  理事・総務部長       豊田善之君  理事・福祉健康部長     山崎文明君  理事・経済部長       座間 亮君  企画部長          安藤圭太君  政策調整担当部長      杉本錦也君  市民部長          山崎貴代君  地域コミュニティ担当部長  遠藤佳子君  防災部長          杉山博之君  文化部長          石川幸彦君  環境部長          神名部耕二君  子ども青少年部長      杉崎 智君  市立病院病院管理局長    簑島信次君  教育部長          北村洋子君  総務課長          尾上昭次君  財政課長          石井裕樹君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長          向笠勝彦  議会総務課長        室伏正彦  議事調査担当課長      吉野るみ  副課長           渡辺博之  副課長           高橋洋子  議事調査係長        橋本 昇----------------------------------- ○議長(奥山孝二郎君) ただいまから昨日に引き続きまして小田原市議会9月定例会を開きます。     午前10時0分 開議 ○議長(奥山孝二郎君) 本日の出席議員は全員であります。定足数に達しておりますので、これより直ちに本日の会議を開きます。----------------------------------- ○議長(奥山孝二郎君) 昨日に引き続きまして一般質問を行います。 この際、申し上げます。一般質問時のみ、会議継続の要件である議員の定足数を確保できる範囲内で、議場に入る議員の人数を減員いたしますので、ここで退席願います。     〔退席予定議員退席〕 ○議長(奥山孝二郎君) それでは、発言者を指名いたします。 6番金崎議員、登壇願います。     〔6番(金崎 達君)登壇 拍手〕 ◆6番(金崎達君) おはようございます。通告に従いまして順次質問をさせていただきます。 初めに、大項目1、「世界が憧れるまち“小田原”」を目指す本市の少子化対策、子ども・子育て支援の取組について順次伺ってまいります。 2020年6月、厚生労働省が公表した2019年の人口動態統計では、一人の女性が生涯に産む子供の推計人数を示す「合計特殊出生率」は、前年の1.42から1.36と、前年を0.06ポイント下回り、4年連続で低下となりました。昨年の出生数は過去最少の86万人まで落ち込んでおります。 我が国の少子化の動向は、団塊ジュニアの出生がピークだった1973年(昭和48年)に209万人の出生数を記録して以降、減少に歯止めがかかっていない状況であります。それでも1990年代にはほぼ横ばいとなるなど、出生数減少のスピードは緩やかとなり、2015年ごろまでは微減傾向で推移しておりましたが、2016年に100万人を割り込んで以降、一気に下げ足を速め、その僅か3年後の昨年2019年には90万人を下回る事態となりました。 政府は、本年5月に閣議決定した新たな少子化社会対策大綱は、少子化社会対策基本法に基づく今後5年間の施策の指針となっております。2004年、2010年、2015年に続いて4回目の策定となります。 今回の第4次少子化社会対策大綱は、希望どおり子供を持てた場合の出生率(希望出生率)1.8を、今後5年間で実現するという目標を明記しております。結婚、妊娠、出産、子育ては個人の自由な選択であり、特定の価値観を押しつけたり、プレッシャーを与えてはならない。そのことに十分留意をしつつ、希望出生率の1.8の実現へ若い世代が前向きな展望を描けるよう環境を整えていくことが求められております。具体的には、男女ともに仕事と子育てを両立できる環境づくりに向け、保育の受皿整備や育児休業、育児のための短時間勤務などの定着を促進。女性就業率が上昇し、共働き世代が増加する中、男性の家事・育児への参画を進めることなどとなっております。核家族化、地域のつながりの希薄化などが進む中、子育ての悩みを誰にも相談できず、孤立する家庭も少なくありません。妊婦期から出産、育児、子供の自立まで切れ目のない支援を拡充し、NPOやシニア世代の協力も促すことで、地域全体で子育て家庭を支えていくなど、「全ての子育て家庭が平常時・非常時を問わず、それぞれが必要とする支援にアクセスでき、安心して子どもを産み育てられる環境を整備する」と明記されております。 子育てに関する経済的支援・教育負担の軽減を一層強化していくことも重要であり、また、雇用の安定を図り、経済的基盤の確保も求められているところであります。 厚生労働省の「人口推計調査」及び国立社会保障・人口問題研究所の「将来人口推計」によれば、2030年まで2019年と同水準の1.36の合計特殊出生率が継続した場合、我が国の出生数は5年後の2025年にはおよそ80万人、10年後の2030年には、現在よりもおよそ9万人少ない77万人となることが見込まれており、出生数の減少を放置すれば、人口の逆ピラミッド化が進み、将来的に経済が縮小し、ひいては社会保障等の低下を招くことは避けられないものと考えます。本市においても、本年2月に人口19万人を割り込んでから、その減少に歯止めがきかない状況であります。 そこで、(1)として、本市における出生率の低下の現状と少子化対策の課題について伺います。 本市の合計特殊出生率の現状について、本年3月に策定された第2期小田原市子ども・子育て支援事業計画の中で、本市の合計特殊出生率の推移についてはおおむね横ばい状態となっておりますが、全国平均や県平均をほぼ常に下回っております。出生率の低下の要因をどのように分析しているのか、これまでの本市の少子化対策について、その効果についてはどのような評価をしているのか、また、本市の少子化対策の課題について、市長の所見をお伺いいたします。 次に、(2)「コロナ禍」における子ども・子育て支援の取組について伺います。 新型コロナウイルス感染症の流行は、妊娠・出産、子育てにも多大な影響を与えており、平常時に加え、非常時においても安心して子供を産み育てられる環境の整備が求められております。「コロナ禍」における子ども・子育て支援について、本市はどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。 次に、大項目2、本市における地元業者への公共工事発注の取組について、順次伺ってまいります。 (1)として、公共工事における地元受注業者の割合と今後の課題についてであります。 地元公共工事受注業者は、地域のインフラ整備・維持の担い手であると同時に、地域社会の安心・安全の確保を担う地域の守り手として、なくてはならない存在であると認識しております。基幹産業として地域の雇用を支えると同時に、地域にも貢献していただいていると認識しております。 しかしながら、建設業者を主に環境が変わってきております。少し古いデータになりますが、国の「建設総合統計」によれば、全国の公共機関が発注した建設工事費については、1998年(平成10年)には32兆円でありましたが、2015年には22兆円に減少しております。建設業者数についても、国の調査によれば、2017年度末において、ピーク時の1999年度末から約23%減少しており、建設業就業者数についても、ピーク時の1997年平均から約27%減少しております。 そこで、本市における公共工事の発注状況について、また、発注工事のうち地元受注業者の割合について伺います。また、これまでの公共工事の地元業者への発注状況に対し、どう評価しているのか、課題へ対応しているのかお伺いいたします。 次に、(2)として、将来にわたる公共工事の品質確保と、その担い手の中長期的な育成・確保の実現の取組について伺ってまいります。 公共工事の発注については、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、公共工事の品質確保の促進に関する法律、建設業法といったいわゆる「担い手3法」をはじめ、法令遵守し、適正な発注をしていかなくてはなりませんが、地元業者を念頭に入れていただき、適正な公共工事の発注が求められております。 地元業者については、地域インフラの整備・維持、災害時の応急対応、地域の社会・経済、地方創生など、地域を支えていただいております。担い手3法も改正され、建設業界では発注者と一体となり、働きやすい職場づくりの努力が求められる中、こういった地域経済等を支える地元業者の育成・確保について、本市のお考えをお伺いいたします。 次に、大項目3として、関東学院大学小田原キャンパスの今後に関する協議について質問します。 まず、(1)大学開設時の協定書及び校地利用に関する細目協定について伺ってまいります。 関東学院大学小田原キャンパス開設に当たり、本市では、同大学と協定書と校地利用に関する細目協定を締結いたしました。関東学院大学小田原キャンパス開設に関する協定書では、地域への貢献として、公開講座の開設、社会人入学の実施、学校施設の利用等、地域住民の生涯教育及び地域文化への貢献に努めることとされております。さらに、相互協力として、小田原キャンパスが将来にわたり、地域に開かれた大学として相互に協力することも規定されています。 そこで、小田原キャンパス開設以降、関東学院大学はこれまでどのような地域貢献をされてきたのか。そして、地域貢献に対し、本市はどのように評価しているのか。また、本市と関東学院大学との相互協力について、本市はどのように認識しているのかお伺いいたします。 また、関東学院大学小田原キャンパス校地利用に関する細目協定についてですが、これは関東学院大学が市の交付した補助金により取得した土地について定めた協定であり、小田原キャンパス目的外利用等の禁止と補助金の返還について規定があります。そして、この協定は昭和63年12月19日に締結されましたが、期限は設定されておりません。通常、補助金の返還については、時間の経過とともに金額が減額されるものと認識されていますが、この考えは細目協定にも適用されるものなのかお伺いいたします。 次に、(2)大学開設時の補助金の取扱いについて伺ってまいります。 関東学院大学小田原キャンパスの今後に関する協議は、他学校法人などと教育連携を行い、小田原キャンパスを承継することにより、大学を新設することの可能性について協議の申入れがあり、協議を行っているところと認識しております。協議において特に関心が高いのは、関東学院大学小田原キャンパス開設時の補助金の取扱いについてであります。 そこで、まず交付金の金額はどの程度であったのか。また、関東学院大学小田原キャンパス新設に当たり、細目協定の目的外利用等の禁止と補助金の返還についてはどのように取り扱う方針なのかをお伺いいたします。 次に、(3)日本先端大学(仮称)の計画についてであります。 4月に計画が公にされましたが、開学に対する市民の期待は大変大きいものであると認識しております。そこで、計画について何点か質問いたします。 一つ目に、現時点で学生数はどのくらいで、開学の時期はいつを予定しているのかお伺いします。 二つ目に、日本先端大学(仮称)は特徴のある大学になると聞いておりますが、どのような特徴があるのかお伺いします。 三つ目に、大学を開設する「日本先端大学(仮称)」設置準備委員会の西委員長のプロフィールや大学開設に向けた同氏の思い、さらに、なぜ小田原の地を選んでいただけたのかをお伺いいたします。 次に、大項目4として、大規模水害発生時の住民の「逃げ遅れゼロ」を目指し、住民避難を促す取組について順次伺ってまいります。 2015年9月の関東・東北豪雨災害で、鬼怒川下流部の堤防決壊等により、茨城県常総市のおよそ3分の1の面積に相当する約40平方キロメートルが浸水し、自衛隊、消防、警察、海上保安庁により約4300人が救助され、避難遅れが発生したことを受け、住民一人一人の家族構成や生活環境に合わせ、いつ何をするのか、あらかじめ時系列で整理した個人ごとの防災行動計画である「マイ・タイムライン」の作成、普及に国や県も取組を進めているところである。2018年12月の国の社会資本整備審議会の「大規模広域豪雨を踏まえた水害対策のあり方について」の答申では、「災害を我がこと」と考えるための取組の強化として、住民一人一人の避難計画等の作成促進が挙げられております。「マイ・タイムライン」は、住民一人一人が自分の居住地等の洪水リスクや洪水時に得られる防災情報を知り、タイムラインの考え方に従って、居住地や生活環境に応じた逃げるタイミングや避難行動を考え、自分の逃げ方を手に入れる機会を創出するもので、目的は災害時の「逃げ遅れゼロ」であります。 「マイ・タイムライン」については、昨年12月定例会において、逃げ遅れゼロを目指す「マイ・タイムライン」などの個人ごとの避難行動計画作成の具体的な促進についてとして一般質問をさせていただいております。本市においては、本年8月に「わが家の避難行動マニュアル」が「わが家の『マイ・タイムライン』記入シート」の追加や情報面の追加・修正を行った改訂版が作成され公表されております。また、各戸配布されております。 本市は、防災対策の充実に不断の努力を続けてくれております。今回の「マイ・タイムライン」記入シートにおいても大変感謝するものでありますが、地球温暖化に伴う気象状況の激化や、市の職員も限られていること等により、激甚化する自然災害に対して、河川の護岸工事や沿岸の防潮堤等の水防工事によるハード面の防災対策には、本市独自では限界があります。今後も国や県と連携強化していっていただきたいと思いますが、防災対策を今後も維持・向上するためには、住民主体の防災対策、ソフト面の対策の充実が求められているのではないでしょうか。今回の「わが家の『マイ・タイムライン』記入シート」の策定・公表は、防災のソフト面を強く推し進めるものになると考えます。策定を進めていただき、大変感謝するものであります。 そこで、(1)として、本市は、相模原市、藤沢市等とともに、神奈川県の「マイ・タイムライン」等に係る取組の施行実施市であったかと認識しております。「わが家の避難行動マニュアル」の「わが家の『マイ・タイムライン』記入シート」追加等による改定版の作成に至った経緯についてお伺いいたします。 次に、内閣府による、平成30年7月豪雨による水害土砂災害からの避難に関する調査において、岡山県倉敷市真備町での被災者への調査では、「2階に逃げれば大丈夫だと思ったから」、「これまで災害を経験したことはなかったから」、「外の方が危険だと思ったから」、「自宅では洪水や土砂災害の危険度は低いと思っていたから」との声が多かったことが挙げられております。ハザードマップ等の災害リスクを十分に理解していないことや、自分は大丈夫といった過去の経験が、正常バイアスを増幅させ、避難を決断しなかった一因となったことが推察されております。当然に自宅で垂直避難できる場合もありますが、近年の地球温暖化に伴う気候変動による、これまでにない豪雨と想定を超えるごく短時間での浸水は、令和2年7月豪雨においても記憶に新しいところであります。さらなる逃げ遅れのリスクが高まる大きな要因とも考えます。 そこで、(2)として、本市の「わが家の『マイ・タイムライン』記入シート」が追加された「わが家の避難行動マニュアル」改訂版が「逃げおくれ」に対しどのような効果が期待できるのか。「マイ・タイムライン」の災害に対する有用性について、本市の所見をお伺いいたします。 最後に、本市の「マイ・タイムライン」の取組について二つ伺います。 一つ目は、普及啓発であります。「マイ・タイムライン」については、名称を聞いたり目にしたりした方はいらっしゃるかと思いますが、まだまだ認知度が不足しております。洪水ハザードマップを作成する必要がある自治体のうち、「マイ・タイムライン」などの個人ごとの避難行動計画の作成の取組を実施している自治体は、2019年3月末において38自治体と「マイ・タイムライン」の取組の全国への広がりは緒に就いたところであります。住民等が興味を持って防災情報の習得に取り組むために、「マイ・タイムライン」の取組を効果的に広報する手段についてどのように考えているのか。本市における「マイ・タイムライン」の普及啓発についてお考えをお伺いいたします。 二つ目に、「マイ・タイムライン」の今後の活用計画についてお伺いいたします。 以上で登壇での質問を終わります。(拍手) ○議長(奥山孝二郎君) 市長、登壇願います。     〔市長(守屋輝彦君)登壇〕 ◎市長(守屋輝彦君) 6番金崎議員の御質問に順次お答えをしてまいります。 初めに、出生率低下と少子化対策について御質問がございました。東京一極集中が是正されない中、本市では20代から30代にかけての若年層の流出に歯止めがかからず、全国的な非婚化と晩婚化とも相まって出生率が改善していないと感じております。本市は、これまで待機児童解消対策等の子育て環境を充実させる取組を進めてまいりましたが、少子化の流れを止めるには至っておりません。今後は、出産から青壮年期までの包括的な支援や子供の居場所づくり、まち保育・まち育てを推進していくなど、子育てしやすいまちづくりを一層進めてまいります。 次に、「コロナ禍」における子ども・子育て支援について御質問がございました。本市では、国の支援策に基づき、児童手当受給世帯に対し、子育て世帯への臨時特別給付金児童扶養手当受給世帯等に対し、ひとり親世帯への臨時特別給付金を支給いたしました。また、本市独自の子育て世帯の支援策といたしまして、6月に児童扶養手当受給者に対し5万円の現金給付を、8月には18歳以下の子供1人につき1万円のおだわらっこ応援券を交付し、さらに、公立の小・中学校における学校給食費を3か月分無償化しております。これらの子ども・子育て支援に係る予算総額は約9億4000万円で、県内でもトップクラスの支援となっております。 次に、本市の公共工事の発注状況及び地元業者の受注割合について質問がございました。本市では、契約検査課が執行する130万円を超える工事については、令和元年度は総数252件、総額60億円余りを発注しております。このうち市内に本店を置く地元業者の受注割合は、件数ベースでは88.89%、金額ベースでは83.97%でございます。 次に、本市発注の公共工事のうち、地元業者の受注状況に対する評価と課題について御質問がございました。本市では、工事の入札執行に当たり、市内業者のみでは施工できない工事を除き、「市内に本店を有する者」を入札参加の条件としております。このため本市としては、地元業者の受注に関して、入札執行時にはできる限りの配慮をしており、その結果が、先ほど答弁した受注割合に反映されていると考えております。 次に、地元業者の育成・確保について質問がございました。御指摘のように、地域インフラを整備・維持する地域の建設業者は、同時に災害時には応急復旧を担うとともに、地域経済を支える主体であることから、地元業者の育成・確保は重要な課題であると認識しております。そして、いわゆる「新・担い手3法」の改正の趣旨に鑑み、発注者は「適正な工期設定」や「施工時期の平準化」等により、地域の建設業者の働き方への配慮も求められるようになってきております。本市といたしましては、これまで同様、地元業者への優先発注に努めるとともに、適正な発注を通じて、その育成・確保を図ってまいります。 次に、関東学院大学小田原キャンパスの今後に関する協議に関連し、同大学の地域貢献についての質問がございました。小田原キャンパス開設以降、関東学院大学は、公開講座の実施、イベント・ボランティア活動への学生の参加、市の審議会等への人材派遣、図書館やグラウンドの施設開放、防災協定の締結等を行ったほか、商工会議所とも包括的産学連携協定を締結し、様々な地域貢献に取り組んでいただきました。関東学院大学による本市の教育・学術の向上や地域経済への貢献は、本市との良好な関係の礎となっており、高く評価するものであります。 次に、関東学院大学との相互協力について質問がございました。開設に関する協定書には、「小田原キャンパスが将来にわたり地域に開かれた大学として発展するよう相互に協力する」との規定がございます。そして、協定に基づき、大学の施設、人材、研究成果等を、行政、企業、地域住民等と共有してきたことが、本市の経済、文化などの分野における発展につながったと捉えております。このように、関東学院大学の有する施設や知的財産の提供と、開かれた大学としての相互協力が本市の発展にも寄与してきたと認識しております。 次に、細目協定における補助金の取扱いについて質問がございました。御指摘のとおり、既に細目協定締結から30年以上が経過していることから、補助金返還を求める場合でも、相当程度減額されると考えるのが妥当であると思います。なお、期限に定めのない本協定は、社会通念に照らし合せて、補助金返還を含め、その規定の取扱いを判断することになります。 次に、補助金額についての御質問がございました。小田原キャンパス用地取得費として関東学院大学に交付した補助金は、40億6237万5171円となっております。 次に、細目協定における解釈についての質問がございました。キャンパスの所有権が新大学に移転することは、第2条の第三者への譲渡に該当すると考えます。しかし、キャンパス開設時の理念と目的である「県西部における高等教育の確立」は維持されることから、目的外利用には当たらないと判断しております。同様に、キャンパス開設時の理念と目的が維持されることから、第3条第2項を適用し、補助金返還に代わる措置として、新大学への無償による土地の譲渡の履行、新大学との教育連携の推進、小田原キャンパスの有効活用を求めるものといたします。 次に、日本先端大学(仮称)の計画について質問がございました。協議会で示された内容によりますと、工学部の単科大学で学生数は4学年合わせて1120人、開学は令和5年4月の予定となっております。その特徴は、理系に特化した全寮制の大学であることで、半分以上の授業を英語で行い、3年生は1年間海外に留学し、4年生は提携企業等で卒業研究を行うと伺っております。また、入試では面接を重視し、文系科目が苦手でも理系科目は得意という学生を集め、世界で活躍できる飛び抜けた人材を育成したいと聞いております。 次に、西委員長の大学開設に向けた思い等について御質問がございました。西委員長は、米国マイクロソフト副社長や株式会社アスキー社長等を歴任され、現在、東京大学大学院の「IoTメディアラボラトリー」ディレクターとしての教鞭も執り、兵庫県にある学校法人須磨学園の学園長も務めていらっしゃいます。理系に特化した大学の創設は自身の20年来の夢であり、開設には強い思いがあると受け止めております。小田原市を選んだ理由でございますが、風光明媚で交通の便がよいこと、キャンパスが小田原駅にもインターチェンジにも近いこと、関東学院大学と連携・協力体制が取れることであると伺っております。 次に、「わが家の避難行動マニュアル」の改訂の経緯について御質問がございました。近年、多発している豪雨や台風による洪水・土砂災害の危険性の高まりから、自分の住んでいる地域の災害の危険性を確認していただくとともに、いざというときに適切な行動をとることが重要であるため、「わが家の避難行動マニュアル」改訂に合わせ、「マイ・タイムライン」を盛り込んだものでございます。 次に、「マイ・タイムライン」の有用性について質問がございました。「マイ・タイムライン」は、住民の皆様一人一人が、ハザードマップで自宅周囲の状況等を確認し、警戒レベルに対応した自分自身の行動を事前に時系列ごとに整理しておくことで、慌てず適切な行動につながるなどの有用性があるものと認識しております。 次に、「マイ・タイムライン」の普及及び活用について質問がございました。「わが家の避難行動マニュアル」の改訂版は、全ての世帯に配布したもので、住民の皆様に「マイ・タイムライン」を実際に作成していただきたいと考えております。また、この「わが家の避難行動マニュアル」については、住民の皆様の避難行動に対する意識づけと防災意識の向上につなげるため毎年配布し、活用していただくことを計画しております。 以上をもちまして、6番金崎議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。 ◆6番(金崎達君) 一定の答弁をいただきました。ありがとうございます。順次再質問をさせていただきます。 ただいま市長のほうから、様々、子育て支援等の人口減少対策について御答弁がありましたけれども、この人口減少・少子化対策については、本市においても本当に喫緊の課題であると思います。そこで、本年の守屋市長の所信表明の中で、「関係人口や交流人口から、定住へと結び付けていくための施策にも力を入れ、人口20万人規模の都市を目指していく」と述べられております。社会増に対する施策については触れられておりますけれども、人口減に対して着実に影響を与える、また大きな要因としてもある自然増に係る、こういった今後の施策についての考えがどのようにあるのか、市長の所見をお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) 自然増に関する施策についての御質問にお答えいたします。 全国的に非婚化・晩婚化が進み、若年層が減少する中で、一自治体として出生率を短期的に改善し、人口を増加させていくことは大変難しい課題であると認識しております。本市は他市が羨むほどの地域資源が豊富にあるため、その魅力を十分に引き出し、伝えることによって、子育て世代に選ばれるまちにすることが、社会増と自然増の両方にこの好影響を与えると考えております。そのためにも、医療や教育等の充実による「生活の質の向上」と企業誘致や創業支援等による「地域経済の好循環」の両立により魅力的なまちをつくり、子育て世代を呼び込んでまいりたいと考えております。 以上です。 ◆6番(金崎達君) 市長のほうから力強いメッセージをいただきました。ありがとうございます。 続いて、再質問を進めさせていただきますが、本年4月に新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の閣議決定に基づいて、1人につき10万円を一律給付する国の特別定額給付金においては、今月、本市においても申請受付は終了しておりますけれども、本市の職員の方々には夜遅くまで対応されたり、休日出勤などで給付事業を進めていただき、先月末で、本市全世帯のほぼ100%に近い世帯まで給付が完了していると聞いておりますが、給付の作業について大変に感謝するところであります。 6月の定例会の一般質問でも述べさせていただきましたけれども、一律給付という形は、感染拡大で危機的な状況において、社会の分断をつくらない方向にしたと考えます。全国的に見えざる敵、新型コロナウイルス感染拡大の国難克服へのマインドも上がったものと認識しております。しかしながら、国の特別定額給付金の基準日は4月27日となっております。基準日より後に生まれた新生児は対象外であります。同学年において給付金を受けられた子供と受けられない子供が生じております。どこかで基準日を設ける必要はあると思います。国の制度としては仕方がないかとも思いますが、本市としても、子育て世帯の追加的支援については先ほども御答弁ありましたが、承知しているところでもあります。しかしながら、この「コロナ禍」において、出産や産後の育児などに不安を抱える妊産婦や新生児を支援するための国の特別定額給付金の対象外になった新生児に対し、一人10万円を給付するなどの市独自の給付制度の創設は必要かと考えますが、新生児に対する今後の支援施策についてどのように考えられておられるのか、市長のお考えをお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) 新生児に対する市独自の給付金制度についての御質問にお答えをいたします。 国の特別定額給付金の対象とならなかった新生児、これは基準日である4月27日以降に出生した新生児でございますが、どこにこの基準日を設定しても対象者に差が生じることは避けられないと考えます。よって、市独自に給付するということは考えていないということを御理解いただきたいと思います。しかしながら、6番金崎議員御提案の、少子化だからこそ一人一人を大切にしていく子ども・子育てに対する支援策は、私も、とても大切な視点、そして重要な政策だというふうに考えておりまして、「おだわらっこ応援券」などの事業を実施したところでございます。今後も、「コロナ禍」による市民生活への影響を踏まえ、適切な支援策を講じてまいります。 以上です。 ◆6番(金崎達君) 様々制度上難しいのはよく分かっております。ただ、新生児に対する本市独自の支援は、先ほど市長のほうからもございましたけれども、小田原で子供を育てたいとの本市の子育て世代の若年層の流出抑制や流入促進につながっていくものとも考えます。本市の5月から7月の3か月において、270人以上の新生児が誕生しております。本格的に急激な少子化に入った今だからこそ、一人を大切にしていくべきと思います。新生児に対するさらなる支援の御検討を引き続きお願いしたいと思います。要望といたします。 次に、公共工事の地元受注業者に関する再質問に移らせていただきます。 地元受注業者については、資金繰りは安定した事業継続にとって非常に重要であると考えております。本市の工事請負契約約款においては10分の4、4割以内の前払金となっておりますが、工事着手においては大変ありがたいものであると思っております。ただ、着工以降、地元業者は工事材料費の支払いや労務費の支払い、工事経費の支払いと、毎月支払いが発生します。地元受注業者の資金繰りを考えていくことは、公共工事の工事の品質の向上にもつながっていくものと考えます。地元受注業者の資金繰りについてどのように考えているのか、本市の所見をお伺いいたします。 ◎理事・総務部長(豊田善之君) 地元の受注業者の資金繰りに対する考え方ということでお尋ねをいただきました。受注業者の資金繰りを支える方策といたしまして、本市では、ただいま6番金崎議員が御指摘いただきましたように、受注者は、契約金額の10分の4以内の前払金の支払いを発注者に請求できる。さらに、その後に、契約金額の10分の2以内の中間前払金の支払いもできるということにしてございます。また、受注者が前払金等の支払いによっても、なお必要な資金が不足するような場合に備えまして、当該工事の出来高に応じて一定の融資が受けられる制度といたしまして、これは国土交通省が平成20年に創設した制度でございますけれども、地域建設業経営強化融資制度というものがございます。この制度の活用に係る相談が事業所のほうから市にございましたら、受注者が当該制度を活用できるよう、工事代金債権の譲渡承諾等、必要な対応を取ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) 御答弁ありがとうございました。よく分かりました。行政による地元受注業者への資金繰りの対応については、ある程度それなりに限界もあるものとは思っております。だからこそ、民間力を生かしていくべきであるというふうにも考えます。 都内の地方銀行においては、公共工事を受注した受注業者への工事の進捗と併せ、資金を供与する公共工事代金債権信託等もあります。都内23区を含む54の公共工事発注機関で利用可能となっていると聞いておりますけれども、公共工事を受注した元請業者が、工事発注者の信用力を背景に決算書等によらず、工事代金を調達できることが特徴であるというふうにも伺っております。行政機関と地元民間金融機関との連携による地元受注業者の資金繰りの支援に結びつけていきたいというふうにも思っております。これからも地元民間金融機関と連携を強化していただいて、地元業者への資金繰りの施策について御検討をさらにしていただきたいと存じます。要望といたします。 次に、関東学院大学小田原キャンパスの今後に関する協議についての再質問に移らせていただきます。 御答弁をお聞きし、関東学院大学は協定を遵守し、これまで様々な地域貢献に取り組んでいただいているということにつきましては大変理解をしました。 過去には、小田原キャンパスから法学部の横浜市への移転がありました。その際には、同大学のトップブランドである材料・表面工学研究所を小田原キャンパスに移転していただき、今回は日本先端大学(仮称)の話と、本市をとても大事にしてくれているというふうに感じております。また、補助金については、現在まで協定を遵守し、30年近くの時間も経過しましたので、返還を求めたとしても、相当減額されることも予想されます。また、細目協定の規定にのっとり、代替措置を求めることについては、細目協定にのっとった市の補助金に関する方針であるというふうにも理解をしているところであります。しかし、一方で、約40億円もの補助金ですから、その費用対効果についても冷静に分析していかなければならないかと思います。 そこで、関東学院大学小田原キャンパス開設以降の経済効果はどの程度であったのかお伺いいたします。 ◎副市長(鳥海義文君) ただいま経済効果についての御質問でございます。平成3年の開設に当たった初期投資の建設費が約104億円ございました。そのほかに学生による消費でございますが、大学開設後の累積になりますが、約185億円でございまして、合計すると経済効果は300億円近くになると、このように算定してございます。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) 補助金が40億円ですから、300億円の経済的効果と。大幅に上回る経済的効果があったことは理解をさせていただきます。 また、先ほど市長の答弁の中で、補助金の返還ではなく、新設大学への土地の無償譲渡と、新設大学との教育連携と、小田原キャンパスの有効利用を求める旨の御発言がございました。そこで、新設大学との教育連携とはどのようなことであるのか。特に関東学院大学の材料・表面工学研究所は全て新設大学に移管されるのか。さらに、小田原キャンパスの有効利用とは具体的に何をイメージされているのかをお伺いいたします。 ◎副市長(鳥海義文君) 二つほどございまして、教育連携の内容、また、小田原キャンパスの有効活用ということでございます。 一つ目の、教育の連携でございますが、関東学院大学と新設大学との教育連携につきましては、これは協議会の中でもお話が出てございまして、基礎教養授業の支援であったり、また、教員や職員及び研究者の人材紹介や交流、こういったものが予定されておるということでございます。また、材料・表面工学研究所の設備等につきましては、関東学院大学から引き継がれまして、新設大学に材料・表面工学の学科と研究所が新設される予定でございますが、現研究所の一部につきましては、関東学院大学の研究所として小田原にとどまると、このように聞いてございます。 二つ目の、小田原キャンパスの有効活用でございます。現在、市と関東学院大学とは「災害時における施設使用の協力に関する協定」を締結してございまして、それ以外にも、図書館やグラウンドといった大学の施設を市や地域住民に開放していただいたところでございますが、新しい大学開設までの間、これはキャンパスの有効活用といたしまして、施設の使用や開放をさらに拡大してほしいと、このように要望をさせていただいているところでございます。また、施設の使用や開放につきましては、新設大学にも引き継いでいただきたいと、このように考えてございますので、こういったことも含めまして、今後さらに調整を進めてまいりたい、このように考えてございます。 以上でございます。 ◆6番(金崎達君) 本当に教育連携の内容についてはよく分かりました。また、心配しておりました材料・表面工学研究所の一部は関東学院大学にとどまり、小田原キャンパスに残るということで、教育連携もスムーズに進んでいくのではないのかなというふうにも感じております。 また、小田原キャンパスの有効利用につきましては、私も昨年の9月の定例会でも様々質問させていただいておりますけれども、この施設の市民への開放については大変に期待しているところでもあります。補助金の返還に代わる措置ですので、関東学院大学もこれまで以上に協力していただけると思っております。市としても、関東学院に対してお願いするだけではなく、必要な協力をするというつもりで、今後の調整に当たられるよう、これは要望といたします。 続いて、設置準備委員会の西委員長のプロフィールや大学開学への思いの答弁をお聞きして、小田原の地に「世界が憧れる大学」ができるのではないかと大いに期待するところではあります。 そこで、最後に、日本先端大学(仮称)が開学すると、本市にはどのようなメリットがあると考えているのか。また、日本先端大学(仮称)への期待など、現時点での日本先端大学(仮称)に対する市長の見解をお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 新大学開学に対するメリットでございますけれども、人口減少や少子化問題が進む中、先ほど答弁もさせていただきましたが、このような環境の中において、多くの学生、それから教職員が小田原に集まること、そして理系に特化した大学なので、恐らく企業との連携も増えるだろうというふうに考えております。そして、それがさらなるこのまちの活性化へつながっていく、そんな期待感を持っているところでございます。新大学の計画を提案してくださった関東学院大学に本当に心から感謝をしております。開学に向けて、できる限り本市としてもサポートしてまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、本市としましては、キャンパス開設時の理念と目的が引き続き達成されることを望んでおります。そして、この新大学開設の地に小田原が選ばれたというふうに私は受け止めておりますので、そのことは非常に光栄に存じておりますし、まさに「世界が憧れるまち“小田原”」をつくっていく一つの要因になるものと期待しております。 以上です。
    ◆6番(金崎達君) 答弁のほう大変にありがとうございます。 まだしっかり決まっているわけでもございませんので、日本先端大学(仮称)とはしっかりこれから決めていただいて、この地域の、小田原の活性化に邁進していただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。 次に、大規模水害発生時の住民の「逃げ遅れゼロ」を目指し、住民避難を促す取組について再質問に移ります。 本市の「マイ・タイムライン」策定・公表に至るまでの経緯と災害時の有用性についてはよく分かりました。 本市は、山、川、海と自然に恵まれております。しかしながら、災害時には危険な顔も見せます。地域によっては、河川の氾濫に警戒しなければならない地域や土砂災害に警戒しなければならない地域、津波や高潮から避難しなければならない地域等、同じ自治会の中でも複合して警戒しなければならない地域もあるかと思います。住民の防災情報や避難に関する情報のニーズも違ってまいります。様々違った警戒区域に対する「マイ・タイムライン」の取組について、さらに、警戒区域ごとの「マイ・タイムライン」を取り組む上で、ハザードマップの活用についてはどのように考えているのかお伺いいたします。 ◎防災部長(杉山博之君) 警戒区域での「マイ・タイムライン」とハザードマップの活用について御質問をいただきました。市では、河川ごとのハザードマップをはじめ、地域ごとの土砂災害ハザードマップ、防災マップなどを作成し、周知しているところでございます。平成30年度には、御質問にもございましたが、岡山県倉敷市真備町で、逃げ遅れたことで多くの方が被害者となったということを受けまして、小田原市内、特に警戒を要する15か所におきまして住民説明会を実施いたしました。その際、ハザードマップを使って、御自宅の周囲の危険がどこにあるのか、そして、いつ、どこへ避難すればいいのかということを住民の方々と一緒に考えるような機会をつくりました。今後も、今度「マイ・タイムライン」もできましたので、ハザードマップと「マイ・タイムライン」を活用して、区域ごとに状況を踏まえた実践的な避難行動を検討する場を設けてまいりたいというふうに考えております。 以上です。 ◆26番(金崎達君) 御答弁ありがとうございます。警戒区域ごとの住民の防災に対するニーズを聞いていただきたいと今後も思っております。 次に、普及啓発について再質問させていただきます。 普及啓発については、先行している自治体においても、ガイドブックを作成したり、一人でも多く作成できるよう、動画での情報発信を検討するなど苦労されているようです。今後も、本市においても、作成ガイドブックや動画配信等の普及啓発に向けた取組について、先進事例を踏まえてどのように考えておられるのかお伺いいたします。 ◎防災部長(杉山博之君) 「マイ・タイムライン」の普及啓発について御質問をいただきました。この「マイ・タイムライン」を普及啓発していく中で必要があれば、作成ガイドブックや動画など、先進的な有効な手段については積極的に取り入れてまいりたいというふうに考えております。 以上です。 ◆6番(金崎達君) ぜひ、先進事例を検証の上、普及啓発に取り組んでいただきたいというふうに思います。 続いて、普及啓発といっても、この「マイ・タイムライン」につきましては、実際に住民に、一つ目に、地域の水害リスクを学んでいただき、二つ目に、洪水時に得られる情報の入手手段や避難判断の方法を考えていただく、そして三つ目に、実際に「マイ・タイムライン」を作成していただくといった3段階で理解を深めていくことが有効であると、国のマイ・タイムライン実践ポイントブック検討会で示されております。これには、市の職員だけの対応ではマンパワー不足に懸念はないのでしょうか。各地区で「マイ・タイムライン」を普及啓発していくに当たり、専門的な知識を有するファシリテーター等の人材の確保や育成が必要かと思いますが、本市のお考えをお伺いいたします。 ◎防災部長(杉山博之君) 「マイ・タイムライン」の普及啓発における人材について御質問をいただきました。おっしゃるとおり、普及啓発の場面では、職員だけではとても足りません。そこで、地域において専門的な知識を有する人材を確保・育成する必要がございます。その人材が中心となって地域で進められるようにしてまいりたいというふうに考えております。 以上です。 ◆6番(金崎達君) 普及啓発は、ホームページや新聞、広報だけでは進まないと思っております。実際に現地に赴いていただき、地域の災害リスクを教え、一緒に地域の避難行動を考える人が必要かと思います。普及啓発に向けた人材育成の促進をお願いしたいと思います。 次に、今後の活用計画について伺ってまいります。 活用計画につきましては、ワークショップ等の開催、地域防災訓練での活用、学校教育での活用等、今後の防災活動に生かせるものと思います。茨城県常総市のマイ・タイムライン検討会に参加した住民からは、水害のリスク認識に関する意見のほかに、住民が相互に意見交換を行い、自分自身や同居家族を守るための防災行動に加え、近隣や地区での共助に関する行動を考えるきっかけになったとの声が多くあったとのことです。地区単位での住民参加型のワークショップ形式で検討を進めることにより、個人行動の不足事項や地区の課題などの気づきを促し、地域のコミュニケーションの輪の広がりを期待できるかと思います。個人の計画の「マイ・タイムライン」から「地域・タイムライン」への取組は、自助・共助を強化していくものと考えますが、どのように進めていくのか、本市の所見をお伺いいたします。 ◎防災部長(杉山博之君) 地域のタイムラインへの取組についての御質問をいただきました。まずは、個人の「マイ・タイムライン」を作成してまいりますけれども、地域での実効性を高めていく中で、地域での共助によるタイムラインへと発展した事例もあるようでございますので、いわゆる「地域・タイムライン」についても併せて検討していきたいというふうに考えております。 以上です。 ◆6番(金崎達君) 共助の取組に関して進めていきたいというふうに思っております。 続いて、共助への取組に関連して、地域のタイムラインの活用単位についてどのように考えているのか。先ほどの警戒区域ごとの取組を踏まえ、最適な単位について、本市の所見をお伺いいたします。 ◎防災部長(杉山博之君) 地域のタイムラインの活用単位について御質問をいただきました。地域での検討する場合の活用単位は、自主防災組織とすることが適当であるというふうに考えております。 以上です。 ◆6番(金崎達君) ありがとうございます。本当に水害対応につきましても、「マイ・タイムライン」の策定を地元自主防災組織の方々と一緒にやっていくという御答弁もありましたが、大変にありがたく思っております。 今、現場では、避難訓練をやっても、高齢者や障がいのある方で参加できないような現状があります。これまで自然災害におきましても、要配慮者の方々が逃げ遅れて亡くなるリスクが高いことが検証もされております。「マイ・タイムライン」の取組に全ての住民が参加していただけるように、様々な角度から取り組んでいただきたいと思います。それが、誰一人も置き去りにしない共生社会構築の一助につながっていくものと考えます。それを含めて、「マイ・タイムライン」を地域で活用できるよう、今後さらに進めていただきたいと思います。 以上で質問を終わります。 ○議長(奥山孝二郎君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午前11時10分といたします。     午前11時3分 休憩-----------------------------------     午前11時10分 開議 ○議長(奥山孝二郎君) 休憩前に引き続き再開いたします。 2番鈴木議員、登壇願います。     〔2番(鈴木敦子君)登壇 拍手〕 ◆2番(鈴木敦子君) 通告に従いまして順次質問させていただきます。 大項目1として、守屋市長の掲げる人口増加策について伺ってまいります。 市長は、2期8年務められた県会議員を辞められてからも、熱心な政治活動を継続されてきました。SNSでの発信や活動のほか、御自身の意見広告や小田原の未来を考える会において検討会を市民間で立ち上げ、いろいろな御意見をタウンニュース等にも掲載されてきました。「もったいないよ小田原」として、加藤市政12年間について、様々な問題提起をされてきています。この問題提起において、必ずしも意見の全てが市長の認識と同様であるとは思いませんが、その中の指摘には共感できない記述も散見されていました。 選挙運動関連の活動用ビラも同様で、「小田原を守る。小田原が輝く。小田原は変わる。」と題し、旧市長、新市長と表で表し、政策の違いも訴えています。例えば、旧市長、財政調整基金10億円を活用したコロナ対策、新市長、財政調整基金40億円を活用したコロナ対策となっており、財政調整基金については、タウンニュース2020年4月4日号では、「みんなで新型コロナウイルスに打ち勝とう!!」と題して、小田原市の貯金40億円を今こそ使うべきとして、一般会計とは別に40億円もの残高がある、「コロナ禍」で苦しむ今こそ使うべきと書いています。 ですが、実際には、前政権がこつこつためたこの財政調整基金を、今回の「コロナ禍」だけで全て使い切ってしまうことなど到底考えられません。なぜなら、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波も来るかもしれず、今後、いつ来るか分からない大型台風や大地震によってどれほどの被害があるのか、そのときに蓄えがなかったらどうなるのか。家計を預かる主婦感覚でも悩ましい問題です。 ほかにも大きな柱の一つとして、人口20万人へとうたっています。私にはどうにも不可能に思えて仕方がありません。高い高齢化率の下で人口減少の原因は、大勢の高齢者が亡くなる自然減が大きいと思われます。この自然減を減少させるのは不可能でしょう。これに対して自然増や社会増をどのように拡大させようと考えているのでしょうか。 国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)」によると、小田原市の人口は、2020年18万8059人、2025年18万789人、2030年17万2785人、2035年16万4233人、2040年15万5368人、2045年14万6484人と公表されています。繰り返しますが、2030年には約17万2000人と予測されているのです。推計上では2万8000人程度の人口構造増加を果たさなければ、2030年に20万人には及びません。もちろん、この人口減少社会で施策の実行によって小田原市の人口が増えていくことは大変喜ばしいことであり、その実現を可能にする筋道が描けているのであれば私も協力したいと考えます。マニフェストや所信表明で人口20万人実現をうたうものの、具体的な方策があまり語られていないことから疑問点が幾つかございます。実現に向けたハードルがあまりにも高く感じられ、市長が具体的にどのような戦略を構想してマニフェストを作成されているのか、ぜひその一端を確認したいと思います。 あくまで税収も上がる人口20万人の実現であるとして、改めてどのような手法で人口20万人の実現を目指すのか伺います。 目標人口20万人達成について、もちろん先ほども申しましたように、人口が増えることは悪いことではありませんが、私自身は、全国的に人口減少社会の傾向の中で数ばかりを増やすというよりも、今いる市民、今ある資源を大切にして、よりよいまちづくりをする方がより現実的であり、よほどインセンティブを与えなければ、そう簡単には人口増は見込めないし、兵庫県明石市のような極端とも言える子育て施策を打ったとしても、その何倍も増やさなければ、今の小田原市は20万人の達成は難しいと考えます。 そこで、市長が公約に掲げた人口20万人を目指していくには、自然減の状況にあって、社会増により実現していくものと考えられますが、どのように実現していくお考えなのかお伺いいたします。 市長は2030年までのロードマップを作成すると公言されましたが、人口20万人の達成はいつ実現させようとしているのか。目標を達成するためには、どこかで減少が食い止められないと難しく、であるならば、人口増加へ転じるのはいつごろと想定しているのかお伺いいたします。 小田原市の人口動態について、直近5年間の自然増減、死亡及び出生の状況はどのようになっているのか、また、全国や県内他都市と比べてどのような状況なのかお伺いします。 また、国立社会保障・人口問題研究所による本市の2030年の人口推計は、先ほども申しましたように約17万2000人となっていますが、推計値と目標人口20万人との差をどのように捉えるのかお伺いいたします。 次に、大項目2、政策監について伺います。 さきの4番小谷議員の質問では、設置に至るまでの経緯などを質問されていました。私は、政策監については、その設置の目的と現在の動き、今後の動きについて伺いたいと思います。 政策監として今後どのような働きをされるのか、また、既に取りかかっていることはあるのかお伺いいたします。 政策監は、その任命権と罷免権は市長のみに帰属し、副市長とは異なり、議会での承認を必要としていません。であるからこそ、その任務の遂行や成果を市民に分かりやすく説明できるよう、1年後の任期終了後、再任するとして、その際に市民の皆様に再任理由を示せるよう、少しでも分かりやすく政策監の1年間の成果目標をつくるべきと考えますが、政策監としての成果目標はあるのかお伺いいたします。 次に、大項目3、企業誘致については、前出の人口増加策に関連して伺います。 市内工業団地について伺います。 令和元年9月には、工業系保留区域に位置づけられてから35年目にして、小田原市北部に位置する鬼柳・桑原地区工業団地の市街化区域編入が決定し、造成工事が始まったことは記憶に新しい出来事です。鬼柳・桑原地区工業団地が35年もの時間を要した中、西湘テクノパークと名づけられた羽根尾、Eプロジェクト小田原国府津、鬼柳・桑原地区工業団地のそれぞれの成り立ちと、今までの経過を改めてお伺いします。 また、小田原市企業立地ガイドを見ますと、現在、表紙には小田原という選択、新設も再投資も立地奨励金1億円、固定資産税、都市計画税、税率を軽減し2分の1、つまり半額に軽減し、市民を雇用すると雇用促進奨励金、最大1000万円を出すといった支援制度を打ち出し努力している中で、それぞれの全体区画数と今後分譲できる企業の残区画数を伺います。 このインセンティブをもってして、誘致できる想定企業、社員数の期待値をお伺いするとともに、そのうち人口増加に寄与できる小田原に住む可能性のある想定社員数と、その家族数はどの程度か、想定があればその範囲をお伺いいたします。 選挙の際の資料には、「税制上の優遇措置や小田原の強みを活かして企業を誘致します」とありますが、今までの政策でも税制上の優遇措置はされています。小田原の強みを生かして企業を誘致とはどのようなことなのか。企業誘致の具体的な施策について、市長のお考えをお伺いします。 次に、過去の大手企業の撤退について伺ってまいります。 タウンニュースや討議資料で、過去の大手企業の撤退について言及されていました。まずは、大手企業とはどこを指すのかお伺いいたします。次に、市で把握している撤退理由を伺います。 この際、市として何かできることがあったのか伺います。 また、市として失策があったのか、市長の認識を伺います。 これから撤退しようとする企業があれば、さらに何か施策を講ずるのか伺います。それは不公平ではないのかと思うのですが、併せて伺います。 次に、サテライトオフィスについて伺います。 選挙の資料には、「サテライトオフィスなど、新たな働き方を進めます」とありますが、何名かこの質問はさきにも出ておりますが、どのような構想なのか、改めて伺います。 また、その効果としては、定住人口に結びつく関係人口の増加などが期待されるのではと考えますが、その効果についても伺います。 次に、大項目4、鳥獣対策についてお伺いいたします。 初めに、イノシシ被害については、本市も柵の補助や、わなの設置補助、県からの捕獲報奨金など、様々な対策を講じていることは理解していますが、地域からの被害の声は全くやまず、畑を荒らされ、その出没地域は山ばかりではなく、どんどん民家に迫っている勢いです。 ニホンザルについては、平成29年3月に策定した第4次神奈川県ニホンザル管理計画により、県西地区の主に大窪地区に出没するS群は、住宅街という特性と、その被害の甚大さから全頭捕獲となり、また、片浦・早川地区を主な生息域とするH群に関しては、25頭までの頭数調整となり、以前のように捕まえても捕まえても学習放獣するという状況から、捕獲して調整となり、少しずつ頭数も減ってきました。その結果、大窪地区は、あと2頭が残るのみとなり、全頭捕獲は目前と伺っております。 片や、私の住む片浦地区では、多少頭数が減少したものの、毎日、追い払いの銃声が響き、通学路で子供たちが威嚇され、庭や家を荒らされたり、家庭菜園の野菜はかじられ、畑の果実を食い荒らすなど、被害はひどくなる一方です。我が家も通り道になっているようで、屋根をどすどす歩き回られ、家族が収穫した湘南ゴールドを少しの間、玄関前に置いていたところ、重い蓋をしていたにもかかわらず、開けて食べられ、挙げ句、玄関に陣取られ、それに気がつかずに近寄ってしまい威嚇され、買物袋の食べ物を取られそうになってしまいました。私は当分の間家に入ることができず、大変な目に遭ってしまいました。 このような被害は片浦地区全体で起こっております。そして、とうとう江之浦地区にシカが出没したという情報も入ってきて、今後の農業被害や生活被害は大変心配な状況です。 私は、定点観測的に鳥獣被害対策の質問をしておりますが、ニホンザル、イノシシ、ニホンジカの平成30年度、令和元年度の農業被害額はどの程度か、また、具体的な生活被害はどのようなものかお伺いいたします。 ニホンザルに関しては、先ほども第4次の管理計画に触れましたが、大窪地区のS群は全頭捕獲が認められたのに対して、同様の被害、それ以上の被害のあるH群の全頭捕獲が認められない理由は何かお伺いいたします。 また、今後のニホンザル、イノシシ、ニホンジカの対策をそれぞれお伺いいたします。 以上で登壇での質問を終わります。 ○議長(奥山孝二郎君) 市長、登壇願います。     〔市長(守屋輝彦君)登壇〕 ◎市長(守屋輝彦君) 2番鈴木議員の御質問に順次お答えをしてまいります。 初めに、人口20万人の実現について御質問がございました。私は、医療や教育等の充実による「生活の質の向上」と企業誘致や創業支援等による「地域経済の好循環」の両立により、「世界があこがれるまち“小田原”」を実現することで、小田原市に人を呼び込み、人口20万人規模の都市を目指したいと考えております。「コロナ禍」において、過密から分散へという流れにシフトをしつつある今だからこそ、森、里、川、海の豊かな自然環境、歴史や文化、交通至便性などの高いポテンシャルを有する小田原市が、改めて注目されるチャンスだと捉えております。 次に、人口の社会増について質問がございました。全国的に若年層の減少や非婚化・晩婚化が進む中、出生率を短期的に改善するということは難しいと捉えており、まずは社会増について積極的に挑戦していきたいと考えております。「コロナ禍」において、社会全体が既に新しい生活様式へと変容し始めており、多くの企業は、テレワークやサテライトオフィスなどを取り入れ始めております。こういった企業の動きは、新たな移住ニーズを生むと考えられるため、本市の住みやすい、働きやすい環境を積極的にアピールするとともに、企業誘致や創業を積極的に支援し、社会増を図ってまいります。 次に、人口20万人の達成について質問がございました。私は、2030年を目標としたまちづくりの基本的な考え方や、現時点で想定できる重要な事業などを整備したロードマップを今年度中に作成したいと考えており、その中で人口20万人規模の都市を目指すことにも触れたいと考えております。 次に、自然増減の状況について質問がございました。全国的に少子高齢化が進み、国の人口動態は13年連続の自然減で、その減少幅は年々拡大しております。本市においても同様な傾向となっており、この5年間で約4400人、年平均約880人の自然減となっております。また、川崎市以外の県内他都市は自然減に転じておりますが、県西地域及び横須賀・三浦地域の減少率は、その傾向が強くなっております。 次に、人口推計と人口20万人の差について質問がございました。国立社会保障・人口問題研究所の最新の人口推計により、本市の人口が減少していくと推計されていることは承知しております。自然減の傾向が強くなる中、豊富な地域資源を持つ本市は、そのポテンシャルを引き出し、積極的に施策を展開すれば、人口増加は不可能ではないと考えております。 次に、政策監の職務について質問がございました。政策監は、市政運営における重要施策の実現にスピード感を持って取り組めるよう、私に直属して調査、調整等を行う職として設置したものであります。現在、政策監は、企業誘致、デジタル化によるまちづくりの推進、国や県との連携強化等をはじめとした幅広い分野で活動し、市政の運営に必要な情報を私に提供してくれており、引き続き、私のサポート役として活動してもらう予定でございます。 次に、政策監の成果目標について質問がございました。私は、スピード感を持って市政運営に取り組んでいきたいと考えておりますが、政策監の任務は、このために必要となる情報収集や調整等を行うことであり、その結果、市政運営の推進力が高まるものと考えております。このように政策監は、市政運営の推進力を高めるために設置したものであることから、個人に成果目標を定めることはなじまないものと考えております。 次に、企業誘致について、まず、工業用地の成り立ちと経緯についてお答えをいたします。西湘テクノパークは、かんきつ園地転換事業として平成元年に計画され、平成13年に完成し、分譲開始されました。鬼柳・桑原地区工業団地は、昭和59年に工業系保留区域に位置づけた後、長らく事業化に至らなかった状況が続きましたが、平成26年から事業者が開発に取り組み、令和元年9月に市街化区域に編入され、現在、造成工事が進められております。国府津地区の工場跡地は、平成28年に日立情報通信マニファクチャリング、HGSTジャパンの工場が閉鎖されたため、建物解体工事が完了した平成29年から順次分譲されております。 次に、工業用地の区画数について質問がございました。西湘テクノパークは、分譲面積25.7ヘクタール、区画数22区画となっております。現在までに16企業、18事業所が進出し、残り1区画1.5ヘクタールが分譲中でございます。鬼柳・桑原地区工業団地は、造成工事完了後、7.5ヘクタールを6区画で分譲される予定であります。国府津地区の工場跡地は、10.2ヘクタールを6区画の計画で分譲が開始され、現在までに5.8ヘクタール、4区画に4企業が進出し、残り4.5ヘクタール、2区画が分譲中であります。したがいまして、今後分譲できる区画数は9区画、面積は延べ13.5ヘクタールとなっております。 次に、想定される誘致企業と社員数の期待値について質問がございました。企業誘致推進条例では、製造業、自然科学研究所、情報通信業の3業種を優遇策の対象としております。こうした業種の企業の立地が望ましいと考えております。社員数については、業種や規模、業務形態等により大きく異なり、予測することは大変難しい状況ではございますが、何がしかの推計をということを考えれば、条例を制定した平成14年以降、市外から進出した延べ15社の社員数を平均すると、1社当たり177人となっております。今後分譲される9区画に企業が立地した場合、仮定でございますけれど、1600人程度が期待されることとなります。 次に、市内に住むことが見込まれる社員数と、その家族の人数について質問がございました。市内の大手事業所では、その事業所の業種や業務形態、勤務体制などによって異なるものの、社員の7割程度が小田原市民と伺っております。先ほどの期待値をこの数字に当てはめますと、小田原市の世帯当たり人口は2.3人でございますので、家族を含めると約2500人となります。 次に、企業誘致の具体的な施策について質問がございました。本市には、古くからの歴史と自然豊かな環境、充実した鉄道網や道路網があり、高いポテンシャルを持っておりますが、そうした強みや魅力を伝え切れていないと感じております。「withコロナ」の社会となり、新しい生活様式が浸透する中で、郊外での工業団地開発に加え、街なかにおけるオフィス需要等を把握し、それぞれに投資を呼び込む支援策を講じることで企業誘致を実現することができると考えております。今後は、この強みや魅力の発信を工夫しつつ、投資を呼び込む具体的な施策の検討を進めてまいります。 次に、本市から撤退した大手企業についての御質問がございました。平成20年以降に撤退した主な事業所は、平成20年にGSユアサコーポレーション小田原事業所、平成23年に日本たばこ産業小田原工場、平成27年にDNPイメージングコム小田原工場、平成28年にHGSTジャパン小田原事業所と日立情報通信マニュファクチャリング、平成30年に明治研究本部、そして令和2年に日立製作所システム&サービスビジネス統括本部となっております。 次に、大手企業の撤退理由について質問がございました。変化の著しい社会経済情勢を背景に、生き残りをかけて生産の効率化、抜本的な組織再編を迫られており、企業として生産拠点や研究所等の集約・再編を行わざるを得ないことが主な理由と伺っております。また、工場周辺に住宅が密集して立ち並ぶようになり、敷地の拡張が困難なことや、良好な居住環境を維持するために、音や臭い、振動などの対策に取り組まなければならないことも要因であると伺っております。 次に、大手企業の撤退防止について質問がございました。企業の撤退を防ぐには、日頃から企業と意見交換を行い、企業の経営判断につながる情報をいち早くキャッチすることが重要であると考えております。社会経済情勢の変化が著しい今こそ、私の持つ国や県などとのパイプを生かして、企業の情報にアクセスするとともに、企業の経営トップとも足しげく面会し、本市での企業活動の継続や拡大再投資を後押しする、市のメッセージを伝えていきたいと考えております。 次に、企業が撤退しようとした場合の対策について質問がございました。企業誘致推進条例では、市外からの企業誘致だけでなく、市内企業の拡大再投資についても支援策を設けておりますが、企業の撤退が相次いだ反省を踏まえ、市内企業の投資を促す、より効果的な方策を検討してまいります。企業が本市で操業を継続したくなる環境を整えることは市の役割と考えており、企業の撤退を防ぐために新たな施策を検討し展開していくことは不公平になるとは考えておりません。 次に、サテライトオフィスの構想について質問がございました。定住人口や関係人口の増加に向けては、雇用環境を創出する企業誘致や起業家支援など、人材と企業を呼び込む投資を大胆に展開することが必要と考えております。今後、国や県、企業、経済団体との連携を強化し、サテライトオフィスの誘致やコワーキングスペースの整備など、新たな働き方に対応した環境づくりを進めてまいります。 次に、サテライトオフィスの誘致により期待される効果について質問がございました。「コロナ禍」におけるテレワークの普及などにより、都内のオフィスの地方移転やサテライトオフィスの設置が進んでおります。こうした需要を取り込むことで、地域に継続的に多様な形で関わる「関係人口」が創出されることになります。「関係人口」が増加することで、小田原市の地域資源や住環境、交通網など、高いポテンシャルが発信され、本市への移住促進につながるものと考えております。 次に、鳥獣被害対策についてお答えをします。まず、ニホンザル、イノシシ、ニホンジカの平成30年度、令和元年度の農業被害額及び具体的な生活被害について質問がございました。平成30年度の農業被害額は、ニホンザル約30万円、イノシシ約850万円、ニホンジカ約20万円、令和元年度は、ニホンザル約100万円、イノシシ約1500万円、ニホンジカ約30万円となっております。生活被害については、イノシシ、ニホンジカの生活被害は見受けられませんが、ニホンザルは、住宅敷地内の物損被害、内部侵入及び威嚇等のほか、件数は多少でございますが、ひっかき、かみつき等の人身被害に加え、生活上の脅威や精神的苦痛を訴える声が届いております。 次に、H群の全頭捕獲が認められていない理由について質問がございました。S群については、行動域が住宅地に及び、生活被害が多発し、人身被害が発生または発生するおそれが高いことから、平成29年3月策定の第4次神奈川県ニホンザル管理計画において、群れ管理のレベルとして「管理困難な群れの除去」に該当するとされ、全頭捕獲が可能となりました。一方、H群については、H群を含む西湘地域個体群の個体数が減少傾向にあり、地域個体群の維持が図れない可能性があるため配慮が必要とされていることから、全頭捕獲には至っておりません。 そして、今後の対策について御質問がございました。ニホンザルにつきましては、長年にわたり地域住民が被害を受けている状況を踏まえ、令和4年度に施行される第5次神奈川県ニホンザル管理計画において、H群が全頭捕獲と位置づけられるよう、神奈川県に対して強く要望してまいります。イノシシ、ニホンジカについては、捕獲報奨金やくくりわな及び侵入防止柵購入費の補助等により、捕獲頭数が大幅に増加し、農地の被害が著しく減少しております。また、ジビエ利用の推進により、捕獲した個体の処分負担が軽減していることから、引き続き、これらの対策を進めてまいります。 以上をもちまして、2番鈴木議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。 ○議長(奥山孝二郎君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後1時10分といたします。     午前11時46分 休憩-----------------------------------     午後1時10分 開議 ○議長(奥山孝二郎君) 休憩前に引き続き再開いたします。 ◆2番(鈴木敦子君) それでは、午前に引き続きまして、再質問を何点かさせていただきたいと思います。順番を変えまして、先に鳥獣被害についての再質問をさせていただきます。 答弁ありがとうございました。大変力強い答弁で本当に感謝いたしております。 平成30年度から令和2年度の被害を伺いますと、確実に被害は拡大しているということが分かります。イノシシ、ニホンジカの対策においても、今後とも力を入れていただきたいというふうに思います。やはり地域の方たちは、だんだん被害にも慣れてきてしまっていて、実際被害が起こっても、なかなか御自分で市に通報したりですとか農協に連絡したりですとかいうことをされない方もあります。表に出ていない被害も少なくないと思います。 ニホンザルについてなのですけれども、再質問させていただきますが、第5次管理計画に向けて、H群も全頭捕獲と位置づけられるように、市長や市役所が働きかけていくという意思があることは理解できました。地域においては、長年の切実な願いでありますので、よろしくお願いいたします。 それでは、H群の全頭捕獲を県に働きかける具体策とはどのようなものなのかお伺いいたします。 ◎副市長(玉木真人君) H群の全頭捕獲を県に働きかける具体策につきまして質問がございました。第4次神奈川県ニホンザル管理計画では、追い上げや被害防除対策を徹底しても、生活被害が多発し、人身被害が発生または発生するおそれがある場合には、管理困難な群れでなくなるまで、または生息確認ができなくなるまで、個体数調整を計画するとされております。H群の現状につきましては、これに該当すると考えられますことから、今年度、学識経験者や本市も含む関係行政機関等で構成されます神奈川県鳥獣総合対策協議会サル対策専門部会におきまして、H群の全頭捕獲は可能となるよう意見書を提出したいと考えております。 以上でございます。 ◆2番(鈴木敦子君) ありがとうございます。 本当に猿のことに関しましては長年の地域の課題であります。第3次神奈川県ニホンザル保護管理計画の期間中に法令改正に伴い、保護管理計画から管理計画となり、「地域個体群の安定的な維持」から「適正な群れ管理を通じた地域個体群の管理」と目標が変更され、ずっとこの問題に取り組んできた農業従事者とともに、地域の議員として少しずつ前進してきた感があります。それには守屋市長が県会議員時代に共に取り組んでくださり、また小田原市も親身になって取り組み、対策し、県に訴えてきた経緯があります。先ほどの御答弁で、第4次神奈川県ニホンザル管理計画の内容を言っていただきました。計画のおおよその内容をそのまま言っていただいたので、少々分かりづらかったかもしれないですけれども、つまりは、生活被害が多発し、人身被害が発生している場合には全頭捕獲できるということですよね。今のH群がまさにその状況です。地域の我慢も限界です。 また、学識経験者や関係行政機関等で構成されている神奈川県鳥獣総合対策協議会サル対策専門部会で意見を言っていただけるとのことでした。サル対策専門部会では、学識経験者の意識と判断が重要であると思います。あと一歩というところまで来ています。でも、以前に出された稀少動物の神奈川県レッドデータブックに、H群を含む西湘地域個体群が絶滅のおそれがある地域個体群とされてしまったことも長年の足かせとなってしまっていて、効果的な対策を難しくさせているのではないかと思います。 この際、H群の全頭捕獲を市長が学識経験者に対し直談判に行くくらいの姿勢を見せていただかないと、H群の全頭捕獲を第5次神奈川県ニホンザル管理計画に反映させることは難しいのではないかとも思えてなりません。県会議員時代のパイプを生かしていただきまして、一刻も早く解決できますようにお願いして、鳥獣被害の質問については終わりたいと思います。 次に、人口施策について再質問を何点かさせていただきます。 まず、いろいろ伺ってまいりましたけれども、改めて伺います。2030年に人口20万人は達成できるとお考えでしょうかお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えいたします。 人口20万人の達成についてでございますけれども、私は、人口20万人を目指していくというこの考えには変わりがなくて、2030年の「世界が憧れるまち“小田原”」の位置づけに向け、「生活の質の向上」と「地域経済の好循環」を両立させ、小田原に人を呼び込み、市民の皆様にも、今まで以上に住み続けたいと思っていただけるような、そんな小田原を実現してまいりたいと考えます。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) その前に、先ほど登壇で、私、人口増加へ転ずるのをいつと想定しているのかという質問を伺っているのですけれども、その点においては、どの点で減少から増加に転ずるのかというところに関しては答弁がなかったというふうに思うのですけれども、現在、全く想定がされていないのかお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 人口増加を目指していくという考えは、これまで何度も本会議等で御答弁をさせていただいたところでございます。そのために、この2030年を目標としたロードマップを今年度中につくっていくということも何回か御答弁をさせていただいておりますが、このロードマップの中で、人口20万人規模を目指していくということも触れていきたいというふうに考えてございます。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) ということは、ロードマップの中には、どの時点で減少が止まり、どの時点で増加に転ずるかというようなことまでも含まれて書かれているという見解でよろしいのでしょうか。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えいたします。 ロードマップにつきましては、2030年までにどういう小田原をつくっていくか。そして今動いている主要な事業について触れさせていただきますので、これは人口問題だけに触れるロードマップではございませんので、この中で2030年までにどういう小田原をつくっていくかということについて、人口問題ももちろんそのうちの一つの重要な要素でございますけれど、それ以外のことも含めて、ある意味パッケージとしてお示ししたいというふうに考えてございます。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) 私としては、公約で目標20万人ということを何度も明言されていらっしゃいますので、ある程度の想定があってしかるべきではないのかというふうに思っていたのですけれども、ないということですので、分かりました。 次に、全国的に人口が減少しているという中で、小田原市のみが20万人に増加といった根拠はどこにあるのかお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えいたします。 まず、全国的なこの人口動態についても触れさせていただきたいというふうに思いますが、2019年の全国的な人口移動の状況、転入超過が450市町村で全体の割合にいたしますと26.2%となっております。転出超過が1269市町村で、これが全体の73.8%でありまして、本市の状況は80人の転入超過で、全国の26.2%。つまり転入が多いまちというふうに位置づける中に、いわゆるグループとして入っているというふうに認識しているところでございます。そしてさらに、これは2019年のデータでございますけれども、「コロナ禍」において、小田原市への移住の関心が高まっているということも、また一つ、これから将来に向けて大きな期待というか、重要な視点だというふうに思っておりますので、何度も申し上げておりますけれど、「生活の質の向上」と「地域経済の好循環」、この両輪を回していくということで、さらに転入超過を伸ばしていく。転入超過を伸ばしていくということは、移住で小田原市に来ていただく方を増やすということももちろんですし、これは引き算ですから、小田原市から様々な事情で小田原市以外へ転出していく方、それぞれがもちろんいろいろな事情で転出していくことになるのですが、できればそういう方にも小田原市にとどまっていただきたい、もしくは小田原市にとどまりたいというような、そんなまちをつくりながら転入超過を目指していって、そして人口20万人を目指していきたいというふうに考えてございます。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) 転入超過で、ある意味人気がある小田原市であるということも理由になっているのかなとは思うのですけれども、新しい生活様式に対応するということで、サテライトオフィスの誘致等についても先ほど御答弁いただきました。ですが、例えば企業誘致に関してもそうなのですけれども、どこの市も同じことを多分考えるのではないかと思います。本市以外にも多くの自治体が、こういった人口を増加させることを予想して力を入れていくのではないかというふうに思います。本市独自のインセンティブであるとか、予算措置を結局はしなければ社会増は見込めないと考えますけれども、その点はいかがでしょうか。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 この「コロナ禍」において、東京から他の都市へ移住するという流れが加速しております。これは、このことを我がまちの発展につなげたいと思っているのは小田原市だけではなくて、様々な自治体が、ある意味個々が競争しているような状況だというふうに思います。もともと小田原市は、私の視点で申し上げれば、他の都市から羨ましがられるほどの、様々な環境に恵まれているということ。これは多分私も議会の皆さんと共有しているのだと思いますが、もちろん、他の都市よりも様々な工夫をすることによって、この小田原市に住むということ、小田原市に暮らすということ、小田原市で働くということ、ここを気づいていただいて、そしてそれを実行に移していただかなければならないというふうに思うのです。ということは、小田原市独自のインセンティブというものは、私は必要になってくるというふうに思いますし、それが結果的にこの小田原市のポテンシャルを引き出していって地域の魅力を高める。そんな政策をつなげていきたいというふうに考えてございます。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) 分かりました。ポテンシャルが高いことは今までも同じですから、それをアピールしたり、結果的にはインセンティブを与えることで人口増加を目指していくということであることは理解しましたし、私もそれは一緒にしたいと思います。でも、やはりそれには原資が必要ですし、私は登壇しての質問でも申しましたように、やはりそこにたくさんの予算を費やし、その成果として人口を得るというよりも、やはり人口は増えた方がいいとは思いますけれども、どうしても20万人達成するということがなかなか理解ができません。人口増加は不可能ではないというふうにおっしゃっておりますけれども、これは、しつこいようですけれども、20万人達成することが不可能ではないという意味なのでしょうか。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 私、この2030年ということですね、一つのある目標の到達点というふうに置いております。そのためにロードマップをつくるということは繰り返しお話をしているところでございますが、そこに描く小田原市の姿として、どういう状況になっているのが望ましいのかということを考えたときに、そこは人口20万人を目指していきたいということが私の考えでございます。ここに対してどういうインセンティブをつけていくかということは、先ほどの答弁のように、これから様々な政策を考えていかなければならないというふうに思っておりますが、小田原市の持っている環境に、さらにこれからつけ加えていく様々な政策を加味すれば、私は人口20万人ということを不可能というふうには思っておりませんので、ぜひそこを目指して取り組んでいきたいというふうに考えております。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) なかなか具体策がない中で納得がいかないのもあるのですけれども、私としても、例えばサテライトオフィスでしたら、海が見える片浦に海が見えるサテライトオフィスですとか、地方のほうですね、下曽我に富士山が見えるサテライトオフィスですとか、いろいろなアイデアを出してやっていくことは一緒にやっていきたいというふうにも思っております。この際、人口20万人の目標達成に向けて、例えば市町村合併による人口増などは見込んでいるということはないと思いますけれども、改めて確認させてください。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 合併については、これまで小田原市、近隣の市町と様々な協議をしてきて話合いをしてきた。しかし、現実的には合併に至っていないということは事実でございます。人口20万人を目指すということ。それを達成するために、市町村合併によってこの人口20万人を達成する。つまり、合併の目的は人を増やすためだということの手段としては捉えておりません。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) 分かりました。本当に今言っていただいたことであるというふうに思います。 次、今度は政策監について伺います。人口については、企業誘致の方でもまた伺わせていただきます。 政策監について再質問させていただきます。先ほど成果目標はないという答弁でした。では、ないとして、どのような基準で再任の判断をされるのでしょうか。結局、任命のときにも議論が足りていないというふうに思っています。そういった中で、市長に任命権も罷免権も帰属しているということであるのであれば、基準がないとした場合、再任の判断をどのようにするのかお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) 政策監の再任の判断基準についての御質問でございます。先ほどの答弁にもございましたように、政策監個人に、数値目標、成果目標を課すということは考えておりません。もちろん、本市として目指すべき政策的な成果目標いわゆるKPIというものは、様々な政策領域で達成するという目標は掲げております。これは組織として行うものであって、やはり個人として達成する目標ではないというふうに捉えておりますので、先ほど個人に成果目標を設定するつもりはないという答弁をさせていただいたのですが、では、それを達成して、成果目標を置かないから達成、未達成ということはないのですけれども、この任期は1年でございますので、どのようにして再任の判断をしていくかということに関しましては、政策監のそもそもの職務を捉え、もう一度振り返ってみると、私に直属して調査、それから研究、そして調整を行うことであって、その職が適切に執行されているかということが、その時点において再任に向けての基本的な判断のスタンスになろうかというふうに考えます。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) そうしますと、やはり人件費は年間で約1000万円もかかるわけで、この任命においては市民の方からも私はいろいろな意見を伺っております。そういった中で、再任に対しての検証がどこの場でもできないとしたら、やはり市民の皆様から見れば、ブラックボックスのような形になってしまうのではないかと思います。新たな特別職を設けるための条例案は、政策監がどのような人物か全く知らされないうちに可決されました。可決した翌日、市長の元同僚でいらっしゃいます元県議会議員であった八木氏を任命されて、私も驚きましたし、市民の皆様も驚いたと思います。また、議会の一般質問に間に合わないタイミングでの追加議案でありました。十分な議論がなされたとは思えない状況です。せめて副市長のように議会が同意する形にできないのかと思いますけれども、その点はいかがでしょうかお伺いたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 政策監の設置については、様々な趣旨をこの議会にお諮りし、政策監を設置するという条例については、さきの6月定例会において御議決いただいたところでございます。その議決をいただいて、私が八木氏を任命したわけでございますが、この条例のつくりということになるわけでございますけれども、これは地方公務員法上の規定に基づいて、この条文をつくっているわけなのですけれども、これは地方公務員法上の特別職に値するものでございます。これは選任の際に、この法律上、議会の同意までは求めていないことから、条例を設置することによってできる職というふうにさせていただいたところでございますので、議会の同意を得るということは考えておりません。 以上でございます。 ◆2番(鈴木敦子君) であるならば、やはり再任の時点で、市民や議会が納得ができるような、判断を皆様に分かるように説明していただきたいというふうに思います。 では、次、企業誘致に関してですけれども、答弁をいただきまして、実際、企業を誘致した結果、誘致できる数としては家族を含めると2500人程度ということでした。結局、企業誘致を全て成功させても、はっきりとした数字ではありませんけれども、想定がそれくらいの人口増加になるわけです。そう考えると、結局、企業誘致でやはり得られる人口増加というのは限られているというふうに思います。そうすると、企業誘致以外の人口増加策について、こちらはほかの議員も聞いてはいらっしゃったのですけれども、再度、企業誘致以外の人口増加策についてお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 企業誘致ももちろん、人口を増やすということに関しては有効な手段、政策の一つだというふうに思いますが、御質問はそれ以外にどういうふうなことを考えているかというところでございます。本市の交流人口は、今「コロナ禍」にあって、残念ながら、今年は減少の見込みであるということはやむを得ないかなというふうに思いますが、近年は増加傾向にあったということは間違いないというふうに思います。私は、このこともある意味チャンス、好機というふうに捉えておりますので、この交流人口を定住人口につなげていきたいというふうにも考えております。そのためにも、交流人口、小田原市に訪れていただいた方に、小田原市に今度は住んでみたいというふうに思ってもらえるということは、やはりこのまちの魅力、住むということの魅力を高めていくことが必要でございますので、出産それから青壮年期までの包括的な支援であるとか、教育環境の充実、そして安心して暮らせる医療体制の構築など、まちそのものの魅力を高めることが必要だというふうに思いますし、それが結果的に住みたいまちとして選ばれていく。どこに住もうかなというふうに考えたときに小田原市に住みたい。そういう方に選んでいただくようなまちにしていきたいというふうに考えております。こういった取組は、進学それから就職などによって、東京近郊へ出ていった若者を再び本市に呼び戻す。やはり小田原市に僕は戻りたいなとか、そういうふうに思ってもらえるような、そんなまちづくりを進めていきたいと考えております。 以上です。 ◆2番(鈴木敦子君) ありがとうございます。 市長も就任されてまだ3か月ですので、具体的政策がないというか言えない、もちろんそういうこともあるのかなというふうに思いますけれども、やはり小田原市のポテンシャルを高めるということで、いつもおっしゃってくださいますように、スピード感を持って取り組んでくださるということは分かりました。 最後に、もう一度、人口20万人堅持について、市長の考え方を改めて伺いたいと思います。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 人口20万人ということは、私も、もう果たして何度口にしたことか分かりません。しかし、それだけ議会をはじめ、たくさんの市民の方が関心を持っていらっしゃることの表れだというふうに思います。言い換えれば、本当にできるのかなというふうに思っていらっしゃる方もたくさんいるのでしょう。私も、大変難しい、厳しい道のりだということは十分に承知しております。そしてそれは、小田原市が人口20万人を目指すという、この人口の増加だけを目的としているものではなくて、先ほどからお話ししているようにまちの総合力を高めていく。それは結果として、やはり選ばれるまちなのだ、人にも企業にも選ばれるから、やはり小田原市の人口が増えるのだということになろうかというふうに思います。そして、それが今度は、この市政を運営していくに当たって、様々な生活の質の向上をしなければいけないということは重ねていろいろ申し上げてきました。教育に対する投資もしなければいけない。24時間365日、安心して暮らせる医療体制をつくっていくためにも、もちろんそこには設備投資というものが必要になってございます。そうした今度は財源を生み出していく。人が増える、企業が増えることによって財源を生み出していく。そういう好循環を回していくということ。そのために私は、人口20万人ということを繰り返し繰り返しお話ししているところでございます。そこだけを目指すのではなくて、まさに小田原の総合力が試されているのだというふうに私は思っておりますし、何度も繰り返して恐縮ですけれども、今は本当にチャンスなのだろうというふうに思います。ぜひこのチャンスを逃さずに、まさに「世界が憧れるまち“小田原”」をつくっていきたいということの私の決意を申し上げさせていただきます。 以上でございます。 ◆2番(鈴木敦子君) るる伺ってまいりました。市長の意気込みも今よく分かりました。私も生活の質の向上ですとかは本当にそのとおりだと思います。今いる人を大切にし、また新たな住民を増やして、そして幸せな小田原市、地域経済の好循環を生み出しそうな、そういった小田原市にしていくことは私も同様に考えております。また、具体的な施策などに関しましては、今後また議論させていただきたいというふうに思います。 以上で質問を終わります。(拍手) ○議長(奥山孝二郎君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後1時45分といたします。     午後1時39分 休憩-----------------------------------     午後1時45分 開議 ○副議長(井上昌彦君) 休憩前に引き続き再開いたします。 5番荒井議員、登壇願います。     〔5番(荒井信一君)登壇 拍手〕 ◆5番(荒井信一君) 通告に従い順次質問させていただきます。 大項目1、広域避難所における自動販売機の設置について。 「災害時対応型自動販売機」は、平常時には通常の自動販売機として機能していることから、絶えず新しい商品が補充されていますが、万が一の災害時に電力が供給されないという事態になっても、手動での商品の取り出しが可能とされており、避難住民や帰宅困難者、また、災害対応に従事する自治体関係者等に対して、災害救援物資が到着するまでの間に自販機の中の商品を無償で提供することができます。 このように災害時対応型自動販売機は、災害などの緊急事態が発生した場合、その初動において、すぐに必要な飲食料品を無償で提供できる利点を持っており、さらに、平時において、学校開放等でスポーツをする児童・生徒及び関係者の利用も可能となり、熱中症対策にも有用と伺っております。 いつ起こるか予知できない地震や風水害に備えて、電力供給が長期にわたって止まった場合でも、飲食料品を提供できる点は、広域避難所等にとっては非常に強みになるのではないかと考えます。 そこで、(1)災害時対応型自動販売機の本市の設置状況について、現在、本市は広域避難所には災害時対応型自動販売機を導入しているのか伺います。 (2)学校施設の開放時の利便性向上について。 学校施設の社会教育開放に関して、施設利用団体のスポーツ活動で体育館を利用する際やPTA活動にて学校を使用する際にも自動販売機を設置すれば、利便性が生じると考えますが、見解をお願いします。 (3)広域避難所への設置について。 先行事例として、伊勢原市は、大塚製薬の子会社、大塚ウエルネスベンディングと、災害時の飲料や食品の供給に関する協定を結ぶことにより、災害対応型の自動販売機内の飲食料品が利用できるようになり、栄養補助食品の提供もできます。災害時対応型自動販売機は、市庁舎に隣接する市民文化会館前に1台設置され、25品目の飲料と7品目の食品を提供でき、市が鍵を管理し、災害時に無償で商品を取り出せるようになっています。 本市もこの事例のようにメーカーと協定を結ぶことにより、広域避難所への災害時対応型自動販売機の設置をする考えがないか伺います。 次に、大項目2、水害時における介護保険施設の避難体制について。 相次ぐ豪雨被害を受けて、厚生労働省は介護施設における水害対策の新たな支援策を創設すると聞いております。今年7月、熊本県南部の豪雨で入居者14名が犠牲になった球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」での被害を踏まえたもので、垂直避難に必要なスロープやエレベーターなどの整備に伴う施設改修費用を国などが補助し、新たに介護施設等における水害被害の支援メニューを創設しました。 そこで、(1)洪水浸水想定区域内における介護保険施設の数と定員について。 小田原市地域防災計画には、洪水浸水想定区域内要配慮者利用施設の一覧が掲載されているが、高齢者が入所している介護保険施設について施設の数と定員の数を伺います。 (2)介護保険施設における避難誘導体制について。 先日、私は、酒匂川流域で洪水浸水想定区域内にある2か所の介護保険施設等へ訪問し、水災害が発生した場合の施設における避難誘導の体制を管理者の方にお聞きしました。 一つは、蓮正寺にある1階建てのデイサービスです。日頃10人から15人の利用者がいて、6人前後の介護職員の方々がサポートを提供していました。デイサービスの管理者へ水災害時における避難誘導はどのように取り組んでいるのかお伺いしたところ、「防災メールや防災無線等の情報を基に、朝のお出迎えの時点で、既に避難勧告が発令されている場合、または前日から発令される可能性が高い場合は、サービスの利用を中止する旨を早急に家族へ連絡していく。職員も出勤させない体制で臨んでいく」との見解でした。 もう一か所は、飯泉にある2階建ての小規模多機能型居宅介護の施設です。利用者は、通所、短期間滞在の利用ができる施設でした。管理者の方は、「防災情報はテレビかSNS等で周知をし、避難勧告が発令された時点で、1階の利用者を垂直避難にて2階ヘ誘導していく。女性スタッフがほとんどなので、早めの行動をしていきたい」との見解でした。防災メールの登録をしていない様子でしたので、登録の申請を喚起いたしました。 それぞれの管理者は熊本県の千寿園の災害を深く受け止めており、安心・安全の早めの行動を実施していく様子がうかがえました。 そこで、本市では、洪水浸水想定区域内の介護保険施設における避難誘導については、水害に備えてどのような体制になっているのかお伺いします。 (3)介護保険施設の災害対策の強化についてですが、国の補助金である地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金に、水害対策の支援メニューが新たに創設されていますが、その概要と事業者への周知についてお伺いします。 次に、大項目3、戦後75年、小田原市民への平和の心の伝承について、伝えておきたい小田原の戦争と平和。 小田原のまちにも、かつて忌まわしい戦争がありました。直接戦争に関わらなくても、何らかの形で戦争を支える、いわゆる「銃後」としての役割を負わされ、戦争末期には、本土決戦部隊が駐留し、上空を米軍戦闘機が飛び交い、昭和20年8月13日午前中、新玉国民学校(現新玉小学校)へ米軍小型機による空襲を受け、教職員3名が亡くなられました。投下された4発の爆弾のうち、2発は学校内に、1発は近くの田んぼに、もう一発は隣接する寺院、連上院にある中世の土塁の上に落ちました。土塁は後北条氏が築いたもので、国指定史跡となっています。そのため、爆弾によって生じた穴を埋めることなく、その痕跡を現在にとどめています。 同月13日、米軍小型機は、扇町の湯浅蓄電池小田原工場(現アマゾン)を襲撃し、若い女性工員ら13名が犠牲となりました。そして、工場近くの大雄山線の切り通し付近(扇町五丁目)に爆弾が落とされ、線路沿いにあった防空壕の天井がその衝撃で落ち、中にいた多古地区の13名が生き埋めとなり、亡くなりました。現在は、湯浅蓄電池小田原工場の襲撃の慰霊碑は、成田にあるGSユアサ小田原事業所の中に「慰霊の碑」があり、殉職者名が記された石碑があります。また、多古地区の跡地には防空壕があった場所(市文化財課整理室の裏)に「身代わり地蔵」が建てられています。 そして、2日後の8月15日、深夜1時から2時頃、小田原市は、米軍の戦略爆撃機B291機による焼夷弾襲撃を受けました。被災し、炎上した地区は、現在の浜町一丁目、三丁目、本町二丁目、三丁目にまたがります。焼失した家屋は約400軒、亡くなられた方は約12名です。この小田原空襲についての説明板が、現在、本町の高齢者専用賃貸マンション「プラージュ古清水」の入り口に設置されています。 戦争が終わって75年余り、戦争と平和に向き合いながら、市民の誰もがこのまちを大切に守っていきたいと考えています。市内に残る数々の「戦争を伝えるもの」は、そのための大切な資料になるはずです。 そこで、(1)本市の戦跡について、現在どのくらいの戦争跡地があるのかお伺いします。 (2)戦中・戦後の史料の活用における啓発と平和施策推進事業について、戦時下の遺品の保存状況や歴史的資料はどのようなものがあり、活用され啓発しているのか伺います。 そして、平和施策推進事業の内容と対象について伺います。 (3)おだわらっ子への平和の心の育成について。 現在、小・中学校の現場では、「戦争と平和」について、学習の中でどのように取り組んでいるかお伺いし、登壇しての質問を終わります。(拍手) ○副議長(井上昌彦君) 市長、登壇願います。     〔市長(守屋輝彦君)登壇〕 ◎市長(守屋輝彦君) 5番荒井議員の御質問に順次お答えをしてまいります。 なお、質問のうち、広域避難所における自動販売機の設置についての一部及びおだわらっ子への平和の心の育成については、教育長からの答弁といたします。 初めに、広域避難所への災害時対応型自動販売機の設置状況について質問がございました。広域避難所である小・中学校には自動販売機が設置されていないが、広域避難所の2次施設である「県立おだわら諏訪の原公園」には、災害時対応型自動販売機が設置されております。 次に、広域避難所への災害時対応型自動販売機の設置についての御質問がございました。災害時の給水につきましては、飲料水兼用耐震性貯水槽や上水道施設の貯水を利用するほか、広域避難所である小・中学校では、給水管の耐震化と応急給水口設備の設置を進めているところでございます。災害時対応型自動販売機については、被災により停電した場合でも利用できることから、被災された方々への支援策として、その導入を検討してまいります。また、物資供給に関しましては、実効性が担保できるよう民間企業との協定締結について前向きに検討してまいります。 次に、洪水浸水想定区域内にある介護保険施設の数と定員数について質問がございました。令和2年9月1日現在、高齢者が入所している介護保険施設は23施設、1207名の定員となっております。 次に、避難確保計画について質問がございました。洪水浸水想定区域内の介護保険施設におきましては、水防法により、避難確保計画の作成と市への報告、そして、計画に基づく毎年の避難訓練が義務づけられており、令和3年度末までに完全実施することとされております。この計画では、利用者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために、避難経路図や避難誘導の役割分担等を具体的に記すこととなっており、市では避難訓練の実施等について確認や指導を行っております。 次に、水害対策支援メニューの概要と周知についての御質問がございました。国は、令和2年7月豪雨の被害を踏まえ、介護保険施設における水害対策の強化を図るため、新たな支援メニューを地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金に創設をいたしました。この制度は、垂直避難用エレベーター、スロープ、避難スペースの確保等の改修費用を一部補助するものでございます。今後、国が交付要綱を定め、詳細を示すこととなりますので、対策を必要とする施設が支援を受けられますよう、市内の介護施設等に周知してまいります。 次に、平和の心の伝承についての質問をお答えさせていただきます。まず、本市における戦争遺跡について質問がございました。戦跡、いわゆる戦争遺跡という言葉の捉え方により異なってくることもありますが、「戦争を伝えるもの」という意味で捉えますと、市内には多くの戦跡が残されております。市といたしましては、市内に残るこの貴重な場所を知っていただくため、戦時下の小田原地方を記録する会の協力を得まして、その多くの戦跡の中から主立った19件を厳選した「伝えておきたい小田原の『戦争と平和』」と題したリーフレットを作成し、市民に配布しております。 次に、本市における戦時下の資料等の活用について質問がございました。郷土文化館におきましては、軍事郵便・召集令状といった文献資料、軍服・軍用ラッパといった軍装品類及び防空頭巾・焼夷弾の筒といった戦時下資料を、市民がいつでも目にできるように常時展示しております。また、図書館では、多くの図書館で戦後処分された戦前・戦中の図書やGHQの政策によって置かれた通称アメリカ図書館の図書などを保有しており、令和3年4月から中央図書館に開設される地域資料コーナーでも活用していく予定でございます。 次に、平和施策推進事業の事業内容等について質問がございました。市が実施する平和施策推進事業には、中学生対象の長崎の大学生を講師に招いた宿泊学習、次世代平和継承事業をはじめ、市民対象の市内の戦争遺跡を巡る市内戦争遺跡巡り事業や、平和の意識啓発のための平和パネル展開催事業などがございます。また、戦時下の小田原地方を記録する会の代表・飯田耀子様が本市の当時を語ることで始まった、小学生対象の学校訪問講話会開催事業は今年で16年目であり、現在は原爆被害者の会が引き継いでおります。 以上をもちまして、5番荒井議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。 ◎教育長(栢沼行雄君) 5番荒井議員の御質問のうち、学校に関する御質問につきましては、私から御答弁申し上げます。 初めに、学校施設開放利用団体に対する自動販売機の学校施設内への設置の必要性についてお尋ねがございました。スポーツ開放及び社会教育開放の利用団体並びにPTA活動では、これまでも飲料水等を持参してきておりまして、自動販売機の設置について、特に要望は寄せられてございません。このため、現時点では、学校施設内の自動販売機についての必要性は高くないと考えております。 次に、子供たちへの平和の心の育成について御質問がございました。学校では、教育活動全体を通して生命や人権を尊重する心や、他者と協調し、互いに思いやる心を育んでおり、国語科や社会科、道徳といった教科で平和に関する内容を扱っております。特に小学校6年生の社会科では、平和を願う日本人として世界の人々と共に生きることの大切さについて、中学校の社会科では、国際協調と国際平和の実現に努めることの大切さについて学習しております。 以上をもちまして、5番荒井議員の御質問に対しての御答弁とさせていただきます。 ◆5番(荒井信一君) 御答弁ありがとうございました。 まず、大項目1、広域避難所における自動販売機の設置について、災害時対応型自動販売機の本市の実施について再質問させていただきます。 本市には、広域避難所においては、災害時対応型自動販売機の設置は少ないということが分かりました。 (2)に関しまして質問させていただきます。 学校施設の開放時の利便性についてですけれども、神奈川県内では先行事例として、自動販売機は、川崎市、横浜市が様々な設置の経緯がありますが、学校施設内に設置して平時にも利用されております。川崎市では、学校からの要望により、体育館わき渡り廊下付近に設置しています.横浜市では中学校のみの設置で、日によってお弁当を持参できない生徒や多様な生活習慣への対応、資源リサイクルを通した環境教育の実践等に対応するためとの経緯があって、校舎内や昇降口、渡り廊下に設置しております。 登壇にての質問で、伊勢原市と協定を結んだ例を挙げましたけれども、このメーカーの方々は、熱中症対策や朝食の欠食対策などに、食事や栄養補給の観点から、平時の学校活動にも有用と提案しております。 学校教育活動にとっても有用と考えますが、また、防災時の避難場所運営や、さらには、帰宅困難者の収容する公共施設で設置した際、利便性が向上し有用と考えております。ぜひとも、モデルケースを実施していただき、設置の可能性を見いだせるよう再度の御検討をお願いしたいと思います。 (3)広域避難所への設置についてですけれども、大変前向きの御答弁をいただきました。広域避難所ではないものの、その他の公共施設などへの設置の検討をよろしくお願いしたいと思います。 災害時対応型自動販売機は、災害時のその初動において、すぐに必要な飲食料品を無償で提供できる利点を持っております。被災された方々への支援策として早期の実現をお願いし、要望といたします。 次に、大項目2、水害時における介護保険施設の避難体制についてお伺いします。 (1)洪水浸水想定区域内における高齢者が入所している介護施設の数と定員数は分かりました。入所されている方々の数は毎月変動していきますが、今後は、定期的に入所されている方々の数が掌握できるようなシステムができるよう要望いたします。 次に、介護保険施設における避難誘導体制についてですけれども、平時に本市では、避難誘導に対して、何に基づいて、どのようなアドバイスを実施しているのかお伺いいたします。 ◎防災部長(杉山博之君) 避難誘導に関するアドバイスについて御質問をいただきました。各施設で避難確保計画を策定する際に、避難情報の収集方法や適切な避難場所についてなど、有効な避難行動が取れるようアドバイスを行っているところでございます。 以上です。 ◆5番(荒井信一君) 次に、各施設は避難確保計画で定めていると思いますけれども、本市は、洪水浸水想定区域内における施設の計画の策定状況を把握しているのかお伺いいたします。 ◎理事・福祉健康部長(山崎文明君) 避難確保計画の策定状況を把握しているのかとのお尋ねがございました。令和2年9月1日現在、洪水浸水想定区域内にございます23の介護保険施設のうち、14の施設が避難確保計画を作成し、市へ報告をいただいております。この介護保険施設を含めまして、計画未策定の要配慮者利用施設に対しましては、令和2年7月豪雨の被害を踏まえまして、計画の作成等について依頼を行っているところでございます。 以上です。 ◆5番(荒井信一君) まだ未策定のところの施設が九つあるということで、丁寧な行政指導をして早めに作成に取り組んでいただきたいなと思います。 次に、事業者側の避難情報の収集はどのような手段があるのかお伺いいたします。 ◎防災部長(杉山博之君) 事業者側の避難情報の収集手段についての御質問をいただきました。事業者の情報収集の手段としては、各施設が定めております避難確保計画におきまして、本市が発信する防災メールやファクス、ホームページなどの中から、事業者の皆さんがそれぞれ定めているというところでございます。また、市が発信するもの以外にも、気象庁や県などが提供している気象情報や河川の水位情報なども、それぞれのホームページで閲覧することができますので情報収集しているものと思われます。 以上です。 ◆5番(荒井信一君) いろいろな手段があることは理解できました。そこで、洪水浸水想定区域内における介護保険施設に、防災メールの登録の周知と掌握をしているのかお伺いいたします。 ◎防災部長(杉山博之君) 各施設に対する防災メールの登録の周知についての御質問をいただきました。防災メールは、避難に必要な情報が自動的に届く仕組みとして有効性が高いと認識しておりまして、ハザードマップや「わが家の避難行動マニュアル」等、様々な媒体に掲載して周知をさせていただいております。介護保険施設が避難確保計画を策定する際にも、メールの登録を促しているところでございます。ただ、登録メールは、メールアドレスでされておりますので、どの施設が登録されているかというところまでは掌握できておりません。 以上です。 ◆5番(荒井信一君) 次に、施設内にて事業者が垂直避難を判断また実施するタイミングはどのレベルが望ましいかお伺いします。 ◎防災部長(杉山博之君) 垂直避難のタイミングについて御質問をいただきました。垂直避難のタイミングとしては、「避難準備・高齢者等避難開始」の警戒レベル3が一つの目安ではないかと考えておりますが、施設の立地やつくり、入居者の状況がそれぞれ違いますので、具体的には施設ごとにそれぞれの判断基準を設けていただくことになっております。気象状況の変化によっては、早め早めの避難行動を行うことが重要ではないかというふうに考えております。 以上です。 ◆5番(荒井信一君) 先ほどのメールの登録でも、それぞれの避難を判断する段階におきましても、施設によってばらばらではなくて、できれば、防災として統一ができるような形のシステムをつくっていただければなと思いますので、よろしくお願いします。要望といたします。 (3)介護保険施設の災害対策の強化についてですけれども、各事業者は、洪水浸水想定区域内における介護保険施設において、避難情報から、タイムラインに従って事業者が判断して、避難体制の指示、行動を実施していきます。私が訪問した施設の管理者は、そのタイムラインにて避難勧告が発令された時点で垂直避難を実施するとの見解でした。平時において、各介護保険施設へ、高齢介護課と防災対策課がしっかりとタッグを組み、避難行動が迅速にできるように指導していただきたいと思いますが、市長の見解をお伺いしたいと思います。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 今年の7月の豪雨、本当に私も報道に触れるたびに、またこういうことが起こってしまうのかということ、その恐怖を改めて感じました。そして、そのために備えておかなければならないということを改めて痛切に感じた次第でございます。 恐らく、これは繰り返されてきた様々な豪雨の被害というものがございますが、分かっていても、この行動に移せなかったもの、そしてその障害が何なのか。それはひょっとしたら、例えば先ほどお話があったように、何かそういう設備を加えたいというふうに思ってもできない、建物の構造上の問題、もしくは人の配置の問題、もしくは予算の問題等々があるのかもしれません。しかし、私たちが常にそういう災害に遭うという覚悟を、災害に対する備えをしていかなければならないということの、それは言い訳にしてはならないのだというふうに思います。災害を防ぐということはできないのだというふうに思いますが、災害がいざ起こった場合において、その被害をいかに少なくしていくか。そして、何よりも一番大切なことは、命を守っていくのか、命さえつないでいくことができれば、後の、場合によっては財産的なものは後から取り返すということができるかもしれませんが、一番大切なものを守るための行動を市としてもしっかりと認識しながら災害対策を進めていきたいというふうに考えます。 以上でございます。 ◆5番(荒井信一君) 力強いメッセージをありがとうございます。とにかく災害が起きてからでは遅いですので、平時に何とか、できれば福祉健康部と防災部が連携をして、常に平時において介護施設はしっかりと守られていくのだというような認識の下、指導をしていただければなと思いますので、要望といたします。 本市として、既存施設における水害対策を取り組む中で、垂直避難用エレベーター、スロープ、避難スペースの確保の確認をぜひしていただきたい。事業者にとっては大変大規模な改修工事となるかもしれませんけれども、担当の所管は、工事が円滑に遂行できるようにアドバイス、周知をお願いしたいと要望いたします。 次に、大項目3、戦後75年、小田原市民への平和の心の伝承について再質問させていただきます。 (1)本市の戦跡について再質問いたします。戦跡や戦中・戦後の史料を活用し、小田原の市民への平和の心を築くためには、今後どのような事業に取り組んでいくのかお伺いします。 ◎理事・総務部長(豊田善之君) 戦跡等を活用した今後の平和事業の取組についてお尋ねをいただきました。戦跡ですとか戦中・戦後の史料は、平和の意識あるいは郷土愛、こういったものの醸成を図る上で非常に大切なものでございます。ぜひとも後世に伝えていきたい史料であると考えているところでございます。そこで、既存の市内戦争遺跡巡り事業の継続、また、本市の史料を展示する既存の施設の展示コーナーですとか、あるいは、今行っています平和パネル展の周知、こういったものに努めてまいりたいと考えております。また、小学生対象の学校訪問講話会等でも、そういった史料を活用することで、戦時下の本市のことを学んでいただく。こういったことを工夫しながら平和の心を築く事業を実施してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆5番(荒井信一君) ぜひとも事業の推進をお願いしたいと思います。 平和施策推進事業は様々御答弁をいただきましたけれども、今年は「コロナ禍」でなかなか事業が展開できなかったと思いますが、前年度と比較しまして、どのような効果があったのかお伺いしたいと思います。 ◎理事・総務部長(豊田善之君) 平和施策推進事業の効果についてお尋ねをいただきました。市内戦争遺跡巡り事業ですとか、あるいは平和パネル展の開催事業につきましては、本市の戦争遺跡や本市に残る戦争に関する貴重な文献資料あるいは軍装品類等のパネルを御覧いただくことで、幅広い年代の方々に戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えることができていると思っております。また、小学生を対象といたしました学校訪問講話会開催事業ですとか、中学生を対象とした次世代平和継承事業につきましては、特に若い世代に対しまして、平和について考えていただくよい機会になっていると考えております。 以上でございます。 ◆5番(荒井信一君) 今後、平和施策推進事業を推進していく上で、平和都市の構築をしていく礎となる、平和の心を啓発するような職員の研修というものを実施しているのかお伺いします。 ◎理事・総務部長(豊田善之君) 本市の職員に対する平和に係る啓発という趣旨のお尋ねをいただきました。終戦の日には、職員に呼びかけまして黙祷を実施しておりますほか、市役所2階ロビーで毎年実施しております平和パネル展、こちらへも職員の参観を呼びかけまして、戦争の悲惨さや平和の大切さとともに、この本市の平和都市宣言についても、改めて認識していただく。そういうことなど、折に触れて職員に対しましても、この平和への意識を掘り起こしているところでございます。 以上でございます。 ◆5番(荒井信一君) ぜひとも、若い世代に、平和の心の継承を様々工夫しながら、研修等を交えて伝承していただきたいなと思います。 次に、本市は、平成5年10月1日に宣言した「小田原市平和都市宣言」があり、その中に「わが国は、世界で唯一の核被爆国であり、国民は、憲法にもとづく恒久平和の実現をめざし、世界から核兵器を廃絶することを共通の願いとしています。わたくしたちのまち小田原は、過去に戦災を被るという悲しい歴史を持っています。そして多くの歴史的文化遺産を守り続けているわたくしたちには、こうした惨禍を繰り返すことのないよう、平和を守り、きらめく城下町を次の時代へ引き継いでいく責務があります。小田原市は、美しい地球を大切にし、輝かしい人類の未来を信じ、世界平和を実現するため、ここに永久に平和都市であることを宣言します」とあります。市長は、この平和都市宣言に対し、どのような見解を持っているか、また、戦争と平和に対する考えをお伺いします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えいたします。 小田原市のこの平和都市宣言、これは、本市が輝かしい人類の未来を信じ、世界平和を実現するために、永久に平和都市であるということを宣言したものであり、私もこの趣旨に賛同するところでございます。また、今ある平和が、戦争で亡くなられた多くの方々の犠牲の上に築かれたものであることを忘れずに、二度と戦争への道を歩まないことは、現代を生きる私たちの使命であると捉えております。そのためにも、戦後75年がたち、戦争を経験された方が少なくなる中で、その惨禍を風化させず、若い世代に平和への思いや希望を伝えていくということは何よりも大切なことだと考えております。 以上です。 ◆5番(荒井信一君) 戦跡や戦争の遺品等が小田原市には結構残されていると先ほどお伺いしました。それらを利用しまして、例えば空き家等を利用して、「戦争と平和」博物館を開設できないものか。その博物館を平和の教育の現場にするなど、小田原の戦跡や遺品が風化、失われることがないように、小田原発の平和都市の構築を実現していただきたいと考えますが、本市の考えをお伺いします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えいたします。 市独自の戦争に関する施設についてでございますが、平和施策の推進事業の一環として、戦時下史料の収集保管、展示活動は大変重要なものであるというふうに認識しております。5番荒井議員御提案の空き家の活用などによる戦時下史料のみを対象とした新たな施設の設置ということは考えておりませんが、郷土文化館の常設展示や時宜を捉えての展示、このようなものはぜひ実施させていただきながら、平和の大切さを啓発してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆5番(荒井信一君) ぜひとも風化せずに、しっかりとしたものが残っているうちに、なるべく早めの対応をお願いしたいと思います。 次に、(3)おだわらっ子への平和の心の育成についてですが、教育長は、戦後間もなく誕生し、団塊の世代であります。年少のころ、戦争の悲惨さを実感されてきたと思います。戦後100年を近未来に迎えていく若い世代に、先輩として数多くの思いを伝えていくべきと考えます。 そこで、おだわらっ子への平和の心の育成についてどのように考えるか、そして、それ(おだわらっ子への平和の心の育成について)を、現場の先生にどのように伝えていくのか、教育長の見解をお伺いし、再質問を終わります。 ◎教育長(栢沼行雄君) 平和の心の育成と教職員への伝え方についてお尋ねがございました。平和の心の育成の根幹は、子供たちが様々な人と関わる中で、豊かな心を育んでいくことにあると考えております。また、平和な生活を築くために努力してきた人々の力によって、今の私たちの生活があることに気づき、これからの平和な世界をつくっていくのは自分たちだという自覚や、そのためにできることを考え、自ら行動する態度を育てることが大切であると考えております。こうした教育を継続していくことが、平和な国際社会を築く礎につながるものと考えておりまして、教職員に対しては、人権教育研修会などの機会を通しまして、私の思いを伝えてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(井上昌彦君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後2時50分といたします。     午後2時36分 休憩-----------------------------------     午後2時51分 開議 ○副議長(井上昌彦君) 休憩前に引き続き再開いたします。 1番安野議員、登壇願います。     〔1番(安野裕子君)登壇 拍手〕 ◆1番(安野裕子君) それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。 既に他の議員も私の質問と同様の質問をしておられますので、一部重複することもありますが、お許しください。 大項目1点目といたしまして、住民の活動の場の確保などについてお伺いいたします。 私は、令和元年6月定例会の一般質問においても同じ趣旨の質問をしましたが、守屋市長は所信表明において持続可能なまちづくりを継承されることが分かりましたので、市長のお考えを伺いたく、再度質問をさせていただきます。 本市は、市民が主役のまち、地域の課題を地域で解決する地域自治のまちづくりを目指して、市民活動や地域の活動を約10年間にわたり支援してきました。その結果、市民交流施設UMECOを拠点として市民のボランティア活動が活発に展開され、また、地域での活動としては、小田原市総合計画において地域別計画を住民がつくり、多様な活動を展開してきました。 さて、地域住民の主な活動としては、令和元年度末のデータによりますと、福祉健康分野は23地区で、防災分野は21地区で、環境分野は14地区で取り組まれており、多くの住民が活動等を通して支え合い、共に生きる地域社会づくりを実現してきました。そして、これらの活動は全国でも先進的な取組例と評価されています。 高齢化が加速度的に進む社会情勢下において、支え合い、共に生きる地域社会づくりは、特に大切であります。高齢者になると社会との接点が少なくなるため、ひきこもりになりやすく、心身の健康を害することにつながってしまいます。健康的な長寿社会を実現するための鍵になるのは、人と人との触れ合いの機会です。そこで、徒歩で行くことができる身近な活動の場が、今後ますます必要になります。公共施設再編基本計画においても、公共施設ではないが、住民の身近な活動の場として利用されている地区公民館などへの支援の必要性が記載されています。 そこで、地域における自治活動や支え合い活動及び生涯学習の場の現状と課題についてどのように認識しておられるのか、また、将来に向けての活動の場の在り方について、さらには、行政として支援策について、市長のお考えをお伺いいたします。 大項目2点目といたしまして、小田原市新病院建設について2点お伺いいたします。 まず、スケジュールについてお伺いいたします。 小田原市新病院の基本構想の検証結果が、9月10日に小田原市立病院運営審議会に報告されました。それを踏まえて、現在、基本計画策定作業も進められているとのことです。基本計画(素案)が10月末頃にできると伺っていますが、基本計画は議会の議決事項になっているため、議決されるまで数か月を要すると思われます。 先日の小田原市新病院建設調査特別委員会で今後のスケジュールについて質疑したところ、開院はできる限り延期しないようにしたいと答弁がありました。しかし、まだ建設地も決まっていない状況です。9月10日の小田原市立病院運営審議会を傍聴しましたが、基本構想の検証結果を見ますと、建設用地は、近くに日本たばこ産業の跡地はあるが、アクセスなどの問題、大きな都市計画を練らないと厳しいので、現地建て替えで仕方がないのではないかという御意見があったと伺っています。建設用地は基本計画(素案)に盛り込まれますが、決定されるのは議会において基本計画が議決されるときであり、まだまだ相当な時間が必要になります。 3月定例会での予算特別委員会において、基本計画ができていない状況下での周辺道路整備関連の工事着手は、順序が違うのではないかという意見もありましたことから、順序立てて建設を進めるとすれば、スケジュールは大幅に遅れていくのではないかと思います。 そこで、開院時期はいつ頃を目指すのか。また、現時点で当初のスケジュールよりも遅れていますが、開院時期を延期することなく進めるための方策はあるのかどうか、市長のお考えをお伺いします。 次に、建設費等、財政負担についてお伺いいたします。 まず、建設費についてお伺いいたします。基本計画で建設費の概算が出ますが、基本構想の検証の結果から、今まで想定された事業費よりも増える見込みかどうかお伺いします。また、補助金などの財源確保の見通しについてもお伺いします。 次に、施設の維持修繕費についてお伺いいたします。開院までの期間は現施設で診療することになりますが、施設の老朽化の状況はどうか、維持修繕に必要な金額はどれくらいと見込んでいるのか、また、予算を増額する必要はないのかお伺いいたします。 次に、今後の経営についてお伺いいたします。基本構想では建設費は約200億円規模とされ、主な財源としては企業債からの借入金になりますが、企業債の償還については病院事業会計から2分の1、一般会計繰入金として2分の1を負担することになっています。しかし、現状の病院の経営状況から、市立病院にとってかなり負担が重くなるのではないかと思いますが、小田原市立病院の経営についての御見解をお伺いいたします。 大項目3点目といたしまして、財源確保に向けた取組について2点お伺いいたします。 まずは、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金についてお伺いいたします。 国は、第1号補正予算で総額1兆円を、第2号補正予算で2兆円を計上しました。小田原市は第1号補正予算では約3億6000万円交付決定されたと伺っていますが、第2号補正予算では交付金は幾らくらいの見込みで、交付決定の時期はいつなのか、さらに、交付金が実際に市の会計に交付される時期はいつかお伺いします。 また、1号及び2号の交付額はどのように積算されるのか、積算根拠についてお伺いします。 次に、交付金の使途についてですが、市の財政調整基金から20億円前倒してコロナ対策をしてきたので、財政調整基金に積み立てるのか、または新たな施策を考えていくのかどうかお伺いします。 2点目といたしまして、国・県の補助金などの財源確保に向けての取組についてお伺いいたします。小田原市は今までも補助金などの財源確保に力を入れてきたと承知していますが、どのように取り組んできたのか、また、その成果はどうであったのかお伺いいたします。 以上をもちまして、登壇しての質問を終わります。 ○副議長(井上昌彦君) 市長、登壇願います。     〔市長(守屋輝彦君)登壇〕 ◎市長(守屋輝彦君) それでは、1番安野議員の御質問に順次お答えをしてまいります。 初めに、地域における自治活動、支え合い活動などの活動の場の現状と課題について御質問がございました。地域活動の場につきましては、小学校の空き教室を一昨年度から改修し、利用していただいているほか、市有施設や地区公民館、民間施設を活用していただいております。市有施設がない地域や施設が老朽化している地域に対する将来的な活動の場の確保が課題であると認識しております。 次に、地域における生涯学習の場の現状と課題について質問がございました。地区公民館は、これまでも社会教育・生涯学習の推進、地域コミュニティの醸成などの面で重要な役割を担ってまいりました。しかしながら、その多くは建設から50年、60年を経過しており、建物の老朽化が顕著で、外壁や屋根の改修、耐震補強、トイレの洋式化、段差解消などのバリアフリー化に係る工事費の財源の確保が困難となっております。また、自治会役員同様、公民館長などの役員の担い手の確保にも苦慮していると伺っております。 次に、地域活動の場の在り方及び支援策について質問がございました。地域活動の場については、高齢者や子供が集まったり、役員が打合せをしたりする場所として、官民問わず様々な活動の場があることが望ましいと考えております。市といたしましては、公共施設がない地域などを優先して、小学校の空き教室の改修を進めていくとともに、企業の施設や空き家などを活用した居場所づくりについての地域と関係者との調整等をしっかりと支援してまいります。 次に、生涯学習の場の在り方と支援策について御質問がございました。生涯学習の場としての地区公民館の在り方につきましては、市民の主体的な学習の運営を促していくための施設の維持とともに、ニーズに対応した多様な学習の場や機会、情報などが提供されていくことが望ましいと考えます。そこで、地区公民館の新築、建て替え、改修、修繕などに対しては、小田原市地区公民館建設費補助金や小田原市地区公民館修繕費補助金の本市制度のほか、一般財団法人自治総合センターによるコミュニティ助成事業助成金を活用いただくとともに、公民館の活動を推進するため、地区公民館活動費補助金の制度を設け支援しております。 次に、小田原市新病院建設についての質問でございます。まず、開院の時期でございますが、現在、基本計画の検討におきまして、新病院開院までの整備手順や整備スケジュールについても整理することとしております。市立病院は、設備等の老朽化や病室等の狭隘化のほか、大地震等災害発生時における医療継続等の課題を抱えており、市民に安全・安心な医療を提供していくためには、早期の新病院建設が必要であることに変わりはございません。 そして、開院時期を延期することなく進める方策はあるのかということでございますが、基本計画では、新病院の役割や機能、運用などを整理して、具体的な設計の指針とするものでございます。工期等も考慮した事業手法や整備手順、事業スケジュールについても整理してまいります。市立病院の狭隘化、老朽化等が進んでいる状況におきまして、スピード感を持って取り組んでまいります。 次に、検証の結果、想定した事業費は増えるのかという御質問がございました。新病院では、24時間365日、市民に安全・安心を提供する病院としての機能を備える必要があり、基本計画の検討の深掘りでは、地域医療の連携の拠点病院としての機能の強化、新型感染症関連患者の受入れ機能の強化、災害時の拠点病院としての機能の強化などを検討しております。基本構想策定当時の建設単価に比べて、現在の建設単価は高くなっている状況でございます。これらを踏まえまして、基本計画の検討では直近の建設市況を考慮した事業費を算定してまいります。 次に、補助金などの財源確保の見通しについて御質問がございました。新病院建設事業に係る補助金等の財源の確保につきましては、現在、医療・介護サービスの提供体制の充実に向けた医療介護総合確保促進法に基づく神奈川県計画への位置づけと、それに基づく地域医療介護総合確保基金の活用について、県と調整を行っているところでございます。 次に、現施設の老朽化の状況について御質問がございました。現施設は、全面改築から35年以上が経過し、設備の老朽化による物理的劣化が見られることに加え、人員や設備の非効率的な配置、施設の狭隘化といった社会的劣化が進んでおり、感染症に対する脆弱性が明らかになるなど、課題が現れているところでございます。 次に、建て替えまでの間の維持修繕費用について質問がございました。維持修繕は、新病院建設を見据え、病院としての機能の維持のための必要最小限で行うこととしております。年間で約2500万円を見込んでおります。維持修繕は、災害などの想定外の被害がない限り、この金額の範囲内で対応できるものと判断しております。 次に、企業債の負担増に伴う今後の病院経営について質問がございました。新型コロナウイルス感染症の影響で、7月までの今年度の医業収益は対前年度比で約10億円の減収となっております。しかし、これまでの病院事業は、平成30年度までの3年連続で当期純利益を計上し、繰越欠損金も生じていないなど、健全経営を維持してまいりました。今後は、国や県の援助の確実な確保や一般会計からの繰入金などにより、まずは当該感染症による収益減を補填しつつ、地方公営企業法の全部適用に移行することで、より経営の自由度を高め、さらなる経営改善を進めて、早期に経営の立て直しを図ってまいります。また、新病院にすることによっても経営改善につながることから、企業債の償還が病院経営を圧迫しないように収支バランスを考えながら、新病院開院後も健全経営に努めてまいります。 次に、財源確保に向けた取組のうち、まず、地方創生臨時交付金の交付額等についての御質問からお答えいたします。第1号補正の3億6000万円については、既に7月に交付されております。第2号補正分については、先行受付分として、7月に11億4000万円分の実施計画書を国に提出しており、その交付決定は9月頃の予定と聞いておりますが、具体的な交付時期については現時点では示されておりません。 次に、地方創生臨時交付金の交付限度額について御質問がございました。各自治体の地方創生臨時交付金の交付限度額は、人口や財政力、感染状況等を踏まえて、国が設定した計算式により算出されております。 そして、その使途でございますが、地方創生臨時交付金は制度上、直接、既存基金への積立てはできませんが、財政調整基金等を財源に予算計上された交付対象事業の財源として振り替えることは可能となっていることから、地方創生臨時交付金の全額について、交付対象事業への財源として振替を行う予定でございます。なお、新型コロナウイルス感染症対策としての新たな施策を実施する際には、時期、規模や財源等について適切に判断してまいります。 次に、財源確保の取組でございます。本市は、財源の確保を図るため、国や県の支援を的確に把握するほか、理事者をはじめ、部長、課長等が関係省庁を積極的に訪問し、国・県補助金の獲得に全力で取り組んでまいりました。その成果の一例として、立地適正化計画を策定したことで、地方再生コンパクトシティのモデル都市に選定され、市民ホール整備事業や広域交流施設整備事業等において手厚い支援が受けられたほか、環境事業センターの基幹的設備改良事業においても、環境省との調整により、有利な補助金を獲得できたと考えております。 以上をもって、1番安野議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。 ◆1番(安野裕子君) 先ほどは市長から一定の御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 それでは、項目ごとに意見並びに再質問をさせていただきたいと思います。 まず、大項目1の住民の活動の場の確保について、私から意見を申し上げたいと思います。 このたび、新型コロナウイルス感染症の感染予防ということで、高齢者の方たちが本当に外出を控えて、家の中で一人でテレビを見て過ごすという状況が続いているそうです。それで、緊急事態宣言が解除された途端に、ある地区におきまして高齢者の方たちから、誰かと何かを一緒にやりたいというふうに要望が出てきまして、その地区の集会所かもしれませんけれども、そういうところで、では、何をしようかと考えたそうです。3密を避けるということで皆さんいろいろ考えたのですけれども、結局、余りしゃべらなくていいトランプをやったそうなのです。トランプをやりながら余りたくさんの会話はできなくても、本当にいつも今まで仲よくしていた高齢者の方同士が久しぶりに顔を合わせて、そして「元気だったの」というところから始まりまして、トランプ一つでも本当に楽しく時間が過ごせた。それで、1時間ぐらいして、3密を避けようということで、お世話係の方が「今日はここまでね」というふうにおっしゃったら、「もっとやりたい、もっとやりたい。では、今日はここまでだけれど、また今度いつみんなと会えますか」というような、そんなお話を聞きました。 それで、私も思ったのです。これから高齢者の方が増えてきます。そうしましたら、高齢者の方の心身ともの健康を維持していくということが、これから大きな課題ではないかなと思ったのです。そういう意味でも、身近なところ、歩いていけるところにみんなが気楽に集まれる、そういう活動の場というのはとても大事だなという思いがあります。そんなこともありまして、このたび再度質問させていただいたという次第なのです。 それで、公共施設再編の基本計画の中にも、「住民の身近な活動の場として利用されている地区公民館などへの支援が必要」という記述もあるのです。その心はといいますか、これからの持続可能な社会を支えるためにはそういう活動の場が必要である。行革をしながらも、でもやはり住民の利便性を図っていく、この両立をするというところで、この記載があったものと思います。 そういう意味では、本市としましてもその活動の場を確保、そして老朽化も大変進んでいますので、さらに支援をしていく必要があるというふうに思うのです。住民の側から見ますと、これは生涯学習課が所管する施設ですよ、地区公民館ですよ、これは地域政策課が所管する施設ですよという区別はないのです。同じなのです。自分たちが集まって活動する場なのです。そういう意味もございまして、ぜひ、これからも庁内で所管間の連携をしっかり取って、そしてこれらの施設確保のために支援策について検討していただきたいと思います。これは要望ということで終わらせていただきます。 次に、小田原市新病院建設に関して再質問させていただきます。 病院の経営につきましては、地方公営企業法の全部適用を目指しておられると聞いていますが、まずは市民のために不採算部門を確保する公立病院の存続が大切であると考えます。近年の経緯を見ますと、全国の公立病院が経営不振に悩み、撤退する病院が出てくる中で、小田原市立病院は存続を目指して医師の誘致や経営改革を行いました。その努力の成果として、今では産婦人科や小児科が充実してきており、また、三次救急を担う病院として県西地域になくてはならない病院になりました。 そこで、今後も公立病院として存続できるように将来に向けて経営計画をつくり、着実に経営を進めていかねばならないと思いますが、市長のお考えをお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) 病院経営の立て直しに向けた経営計画策定についての御質問でございます。市立病院では、これまでも「小田原市立病院経営改革プラン」を策定し、計画的に経営改善に努めてきたところでございます。今年度からは、大学病院との連携により人事交流として医療業務に知識と経験のある職員を管理職として招き入れ、現場における人材の強化を図ったところでございます。また、病院の経営改革を推進するために、市立病院運営審議会の委員に、病院の経営戦略に係る専門の大学教授や大学病院の教授、公認会計士などを新たに加え、病院経営に係るより専門的な意見も具申できるように、当該審議会の機能を強化したところでございます。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響による経営の立て直しが急務であることから、早期経営改善策を柱とする臨時のプランを策定し、経営改善を進めていく予定でございます。 以上です。 ◆1番(安野裕子君) 今の御答弁で、小田原市立病院運営審議会に専門的な知見を持つ方が入られたということは大変よかったのではないかなと思っております。院長先生がお医者さんでいらっしゃって、医師としての活動もなさり、そしてまた経営ということまで責任を持ってやっておられる。本当に頭が下がる思いなのですけれども、そういう経営の専門的な知見を持った方たちをぜひ採用されまして、院長先生を補佐するという事務方の人材を確保していっていただきたい。さらにまた努力していただきたいなというふうに思っております。 それから、これからの経営で一番ネックになってくるのが、建設と同時に、企業債借入の償還ということが始まるのですけれども、企業債の償還が始まりますと、やはり私は経営が厳しくなるなというふうに思うのです。だから、そういう経営改革の部分で、もちろん努力はしていただくのですが、もっと大枠のところの大きなお金が動くということで、これは大変厳しい状況になるのではないかなというふうに思っております。ですから、そのためにも新病院の建設に、まずは入り口のところで身の丈に合った病院を整備することです。本当に自分たちが償還もできるという算段が立つような身の丈に合った病院を、まずは建設していただきたいというふうに思っております。 とは言いましても、日頃の資金繰りのことですなのけれども、次のような提案をしたいと思っております。 建設の自己資金というものに、一般会計から支援することはできないのかなということです。小田原市では、市民ホールの整備に関しまして、整備基金というものをつくりまして、市民からの御寄附と、そして一般会計から余剰金の一部を建設基金として投入して、そして資金を確保していったという経緯があります。今、市立病院につきましては市立病院新病院建設基金というものがございまして、そこに一般会計の余剰金を少しずつでもよいから積み立てていったらどうかなというふうに思っております。 現在は、本当に「コロナ禍」で余剰金が出るのかどうかというところも大変厳しい。ですけれど、償還が始まるのは来年からではないのです。企業債を借りて、その据置き期間もあると思います。その先から償還が始まりますので、まだ数年猶予がありますので、毎年余剰金が出たらそれを病院建設基金のほうに充てていくという手法も検討されたらどうかなということで、これは今すぐにはなかなかお答えも難しいと思いますけれども、少しお考えいただきたいなというふうに意見を申し上げたいと思います。 それからもう一つ、実はスケジュールについてなのですけれども、市民の間では、病院はいつ建つのだろうかと心配している方がいっぱいいらっしゃるのです。そもそも新病院を建てることにした要因の一つとしまして、先ほど御答弁にもありましたように、病室などの基準が古い基準でできているものですから、医療スタッフの方が看護したり、それからまた外来の患者たちの診察に当たってプライバシーが守れなかったりとか、医療関係者の方から、早くこれを何とか改善してほしいという熱い意見がいっぱいあって、そして、では思い切って新病院を建てようというふうに決断したという経緯があるのです。ですから、医療スタッフの方たちは、こうやっている間にも、本当に待ったなしで患者たちのお世話をなさっている。そういうことを思いますと、本当に一日も早く、スケジュールを遅らせることなく進めていくべきだと思っていたのです。 ですけれど、市長のお考えがおありで、基本構想をもう一度検証して、基本計画をつくりたいというお考えで、検証作業というものがまた入ってしまいましたので、私としましては、その時間が、医療スタッフの方たちにとってはどうだったのかな、本当にその検証作業をしていく時間が必要だったのかな、何か今までの基本構想に足りないものをプラスしていくというような発想で基本計画をつくれなかったのかなというような思いで、実は、スケジュールが遅れているということにつきましては、私は残念に思っているところです。もし、市長のほうで何かそれに対して御意見がございましたら、伺えましたら幸いに思いますが、いかがでしょうか。 ◎市長(守屋輝彦君) 建設のスケジュールについての御質問でございます。市立病院は、先ほどの答弁にも重なるのですが、まず一つは建物が物理的に劣化していっている。例えば設備の配管とかが老朽化していって、病院という建物の性質上、ひとたび配水管が詰まるとか、もしくはガスの供給が途絶えてしまうとかいうふうになってしまえば大きな事故につながりかねないという、そういうリスクが建物の老朽化によって現実のものとなっているということ。それから、今、面積の基準というのもございました。あとは例えば医療スタッフの動線が、昔の建物なので、もっともっと効率よく医療サービスを提供するためには、やはり今の基準に合った動線だとか病室の面積を確保したい。もちろん、そのような声を、私自身も直接聞いているところでございまして、この市立病院を早く建て替えしなければいけないという思いは私も強い認識を持っているところでございます。 それを踏まえて、改めての検証をしているところでございまして、答弁もさせていただいたところでございますが、基本計画のたたき台を10月にお示しさせていただいて、その中で整備の手法であるとか、全体的なスケジュールについてもお示しをさせていただきたいというふうに思います。もし、ひょっとしたら内部で行っている作業が目に見えないということで、そこに不安を感じているという方がいらっしゃるかもしれませんが、それは基本計画をお示しすることによってその不安を払拭していきたいというふうに考えております。 以上です。 ◆1番(安野裕子君) 今、市長の御所見をいただきまして、基本計画がまだ出来上がってこないので、それを拝見しないと分からないところなのですが、本当に一日も早く新病院が開院できるように鋭意努力していただきたいなと思っております。 次に、地方創生臨時交付金の積算根拠について再質問させていただきます。 第1号補正と第2号補正の交付金を比較しまして、国の補正予算は2倍になったのに、小田原市への交付額は約3倍になっております。しかし、国の予算という一つのパイを分け合うことを鑑みますと、交付額が減っている地域もあるのではないかなというふうに思います。 そこで、他の地域の状況も踏まえて、小田原市がなぜ3倍の交付になるのかという、この要因をどう捉えておられるのか伺いたいと思います。 ◎市長(守屋輝彦君) 地方創生臨時交付金の配分についての御質問でございます。この地方創生臨時交付金に限らず、様々な国の交付金というのがあって、もちろん、国はそのトータルというものをどういうふうに地方に配分していくかということ。これは、それぞれ地域からの声を聞いて、それぞれの事業に即して御判断いただいているものだというふうに思います。この地方創生臨時交付金でも、やはり同じことが行われたのだろうというふうに推察いたします。特に第2号補正においては、財政力指数が低い地域、それから緊急事態宣言が発令されていた日数の長い地域に比較的多く配分されている傾向、私も全部の市町村を比較したわけでもございませんので、傾向とだけ申し上げておりますが、やはり第1号補正を受けて、地域の自治体が非常に厳しい状況に置かれているということを、それぞれの自治体がいろいろな声をいろいろなチャンネルを使って発信されていたのだというふうに思います。配分するほうの国といたしましては、そういう地域の実情を聞いた上で、それを反映した結果であるというふうに受け止めております。 ◆1番(安野裕子君) そうしますと、この第2号の交付金の配分については、やはり一定の配分の計算式があって、そして小田原市は見込みよりも多く3倍いただけたという解釈でよろしいのでしょうか。確認させていただきます。 ◎市長(守屋輝彦君) 結論といたしまして、第1号補正が3億6000万円、そして第2号補正は11億4000万円というふうに増額されているところでございます。その増額に当たってどういう算定根拠にしたかというのは、先ほどの御答弁と重なるのですが、申し訳ないけれども、地域としてはやはり自分のところを守っていくのが一番大切なわけです。だから全体としてのバランスよりも、それぞれの地域が、うちのところはこういう状況に置かれているので、何とかこの地域の事情を反映して、もちろん一定の算定式というか算定基準というのでしょうか、私もその中身まで詳細を把握しておりませんが、何がしかの基準をつくる、そのためにこの地域の実情を反映した基準をつくっていただきたいというのは、どこの自治体もやっていった成果なのかなというふうに思っております。それによって、結果的に見込みよりも多くなったところ、残念ながら他の都市に比べて少なかったところが結果として起こってきているのだというふうに思います。 そして、本市においてどれだけ見込みより多かったかというと、幾らという見込みはなかなか立てづらかったという状況ですので、結果として3億6000万円が11億4000万円になったということだけ申し上げておきます。 以上です。 ◆1番(安野裕子君) 実は、このことで少し市民の方からいろいろな解釈の御意見が私のほうに届いているのです。と申しますのは、市内のいろいろまちづくりのことを勉強されている団体から、タウンニュースに意見広告が出て、それをお読みになった方たちからいろいろな解釈が届くわけなのです。ある方は、「市長のおかげで多くもらえた、よかった」とおっしゃる方もいらっしゃいますし、ある方は、「そんなこと、国が忖度するわけないでしょう、国税を使うのだから」と、そんなような意見も届くのです。 それで、私も、どうなのかなとよく分からなかったので、今回質問させていただいたという経緯があるのですけれども、これまた市民の間で新たな誤解が生じないように、やはり正しい情報を市民の方に知らせていくべきではないのかなというふうには思うのですが、その点につきまして、市長はどのようにお考えになりますか。 ◎市長(守屋輝彦君) 市として、正しい情報を市民の皆様にお伝えしていくことは、この件に限らず必要なことだというふうに思っておりますので、この交付金に限らず、様々な情報は正しく伝えていきたいというふうに思います。 以上です。 ◆1番(安野裕子君) それでは、交付金の使途につきまして再質問させていただきます。 年度末の会計の状況によるとは思いますけれども、私は、やはり交付金を、一部でいいですけれども、財政調整基金に入れるべきではないかと思っております。 そこで、本市において財政調整基金はどれくらいあるのが望ましいと考えておられるのかお伺いいたします。 それから、再質問の2点目といたしまして、新たな施策をこれからは考えていかれるというような御答弁がございましたけれども、現時点では、例えば具体的にどのようなものをお考えになっているのかお伺いしたいと思います。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 まず、財政調整基金のことについて先にお答えいたしますが、この適正な残高につきましては、歳入の構造、それから財政需要、財政調整基金以外の特定目的基金の状況などにより異なるため、なかなか一概に申し上げることは難しいわけですが、その上で一般論として申し上げさせていただければ、標準財政規模の10%程度とされておりまして、これを本市に当てはめますと約37億8000万円となります。 そして、新型コロナウイルス感染症に関する新たな支援事業についての御質問でございますが、私は、何しろ新型コロナウイルス感染症対策にスピード感を持って取り組まなければならないということで、これまでも事業者や子育て世帯等への支援を行ってきたところでございます。また、本定例会に提案させていただきました補正予算では、高齢者へのインフルエンザ予防接種の支援を盛り込みまして、幅広い層への支援に努めているところでございます。現時点では、この感染症の収束の時期が不透明でなかなかこの先が見えないといった状況でございますので、今後の追加支援策については、暮らしや地域経済の現場を注視しながら判断をしてまいります。 そして、この「withコロナ」という時代に適応しました感染症対策というものと経済対策、なかなかこれはどうバランスを取っていくかというのは難しいのですが、この両面からうまくバランスを取った、そして新しい生活様式に対応した施策を、これからもスピード感を持って展開していきたいと考えております。 以上です。 ◆1番(安野裕子君) 新型コロナウイルス感染症対策関連のいろいろな施策の展開がこれから必要になると思いますので、ぜひ進めていただきたいなとは思っております。 財政調整基金についてなのですけれども、先ほどの御答弁で適正の残高が37億8000万円程度というお話でした。私は、それはぜひ確保していただきたいと思っております。と申しますのは、このたびの新型コロナウイルス感染症対策を国に先駆けてすぐに決断できたのは、財政調整基金の残高がたくさんあったからなのです。財政調整基金はまた必要に応じて取り崩して使うこともできますので、できる限り積み立てて余力を持たせるべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎市長(守屋輝彦君) 財政調整基金の残高についての御質問でございます。経済情勢の著しい変動や大規模災害、新型コロナウイルス感染症の蔓延など、本当に何が起こるか分からない。今回の新型コロナウイルス感染症も予期せぬことが起こったわけでございますが、このような緊急的な対応が必要なときは財政調整基金を財源に、真に必要な施策を的確に、そして積極的に投資していく必要があるというふうに思っております。いずれにいたしましても、持続可能な財政運営に向けた当該基金の取扱いにつきましては、地方財政法第7条の規定にのっとり、決算剰余金の2分の1を積み立て、そして基金残高の確保に努めるなど、財政規律に配慮しながらも、今何が必要なのかということを一番大切に考えなければならないというふうに思いますので、そのことも踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆1番(安野裕子君) 財政調整基金のことなのですけれども、私は家に帰れば主婦でございます。家計をやりくりしております。お金が手元にあると、つい使ってしまいます。でも、これはこの目的のためにためておかなくてはいけないなということで通帳に入れますと、無駄遣いが減る。こういうこともあるのです。ですから、そういう意味で財政調整基金はできるだけ積み立てておいていただく。本当に必要なときにはそれをまた使うという、そういうやり方もあると思いますので、ぜひその辺についてはまたお考えいただけたらと思います。 次に、財源確保の取組について再質問させていただきます。 市長は就任以来、「国や県とのパイプを太くして、財源確保に努める」とおっしゃっておられました。例えば6月定例会の11番鈴木美伸議員の質問に、このように答弁しておられました。引用させていただきます。 「施策の財源についての御質問がございました。私が掲げる『世界が憧れるまち“小田原”』を実現するためには、政策集に掲げた取組について、今後その財源も含め、実現に向けた検討を進めてまいります。現在の地方自治体が置かれている状況は、市民ニーズの多様化や役割の増加、また、これに『コロナ禍』が加わり、財政運営はより困難さを増しております。こうした中、本市においては国の第1号補正予算に伴う地方創生臨時交付金が約3億6000万円、そして今般の第2号補正予算におきましては、これまでの想定を、私としても大幅に超える約11億4000万円が交付の限度額として示されました。第1号に対して3倍もの第2号の補正が来たということは、私としても就任直後、すぐに国や県との連携を図ってきた一つの成果だというふうにも自負しております」と御答弁されているのです。 ところが、私が少し疑問に感じますのは、守屋市長が就任される前も、先ほどの登壇しての御答弁のように、小田原市は補助金などの確保に向けて本当に頑張って、時には見込みよりも多く交付されたという事実もございました。それで、前市長のときと何が違うのかなということが、実は理解ができません。 そこでお尋ねしたいのですけれども、市長がおっしゃる国や県とのパイプとはどのようなことを指すのかお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 国や県とのパイプ、この言葉自身は別にそう目新しいものではなくて、割と古くから使われてきた言葉だというふうに思います。その上で、私なりに今置かれた立場においてお話をさせていただきますが、御案内のように、私はこれまで県庁の職員を、そしてその後は県会議員をさせていただいたところでございます。この間、様々な人間関係をつくってきたわけでございますので、これはこれ、私が個人としてパーソナルで持っている、いわばネットワークになると思います。もちろん、これだけで様々な事業ができるとは全く思っておりません。この小田原市の職員のみならず小田原市民、もしくは小田原市民でなくても小田原で事業を営んでいる人は国や県とのいろいろなネットワークを持っている。これまでの事業を通じて培ってきたネットワークを持っているというのも、また大切な、この小田原が培ってきた歴史の一部だというふうに思いますので、それらも踏まえて、これからさらに国や県との連携やネットワークを最大限に生かして市政運営に当たっていこうと考えてございます。 以上です。 ◆1番(安野裕子君) まさに御答弁のとおりだと思います。私は、例えば国や県の人脈だけに頼るようなパイプというのは古い手法ではないかなと思っているものなのです。と申しますのは、今、パーソナルのネットワークとおっしゃいましたけれども、それはそれで生かしていただくということはとてもいいことだなとは思うのですけれども、そればかりに頼るというのは、私は望ましくないのではないかなと思うのです。やはり今、国のほうも県のほうも、財政が潤沢にあるわけではないですよね。厳しいです。だから、どこの地方自治体からも、少しでも私のまちに交付金などを下さいという要望がやはり殺到しているときだと思うのです。そのときに、では国や県はどうするのかというと、例えば人脈ということだけで配分を優先することはできないと思うのです。本当にそこのまちがどのような取組を今までしてきて、これからどのようなことが期待できるのかという実績をもって判断されることが、これからは主流になるのではないかなと思うのです。そういう点で、今、市長がおっしゃられた、市内の民間企業の方とかいろいろな方が持っていらっしゃるネットワーク、そういうものも生かしながらというのは、やはりそこのまちの人的な資産を生かして、そして補助金などを確保してくるということで、それはとてもいいことだとは思います。 小田原市は、私が知る限りは、今まで財源を確保するために様々な努力をしてきたのです。例えば人事交流などもしてこられたと思うのです。中央省庁のほうに人事交流して情報を早くキャッチする。私も、前の前の市長のときは、では何課に人事交流が多かったのかなとか、そんなことも調べてみましたら、やはりその市長の政策に一番関係の深い中央省庁に人事交流で派遣しておられた、そういうこともございました。 それから、先ほどの立地適正化計画というものをつくって補助金を多くいただけたということもあるのですけれども、それも義務的につくる計画ではなかったのです。ですけどども、立地適正化計画をつくれば補助金がたしか5%かさ上げで交付されるというメリットがあったのです。ですから、そういうふうに一生懸命努力をしたのです。その努力をしたのは誰なのかということなのです。それは、もちろん前市長もトップセールスをしましたけれども、でもそれは職員たちが知恵を絞って、何とかここのまちを、この事業を成功させようという汗と努力の結晶ではないかなというふうに私は思っているのです。 ですから、これから本当に財源確保ということは大事なことなので、今まで職員が培ってきた力と、それから市長のトップセールスを結集して、オール小田原で財源確保に取り組めば、職員のモチベーションも上がると思いますので、そういう方向でぜひお願いしたいと思っております。 最後に、市民生活を支えるためにはお金が必要です。財源の確保は大切ですので、これからも鋭意取り組んでいただきたいと思います。また、限られた財源ですので、事業を進める上では優先順位をつけて有効に使っていただきたいと要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手) ○副議長(井上昌彦君) この際、暫時休憩いたします。 再開は午後4時10分といたします。     午後3時58分 休憩-----------------------------------     午後4時10分 開議 ○議長(奥山孝二郎君) 休憩前に引き続き再開いたします。 16番楊議員、登壇願います。     〔16番(楊 隆子君)登壇 拍手〕 ◆16番(楊隆子君) 通告に従い順次質問してまいります。 大項目1、歴史と文化の香るお城を中心としたまちづくりと観光についてお伺いいたします。 小田原の最大のシンボルである小田原城と小田原城跡。荘厳で、四季折々の美しい風景、歴史的な価値の高いこの小田原城と小田原城跡は、小田原市民の誇りであります。令和元年度の天守閣の入場者数は約58万人です。 本年9月号の「広報小田原」に特集が組まれておりました。東西3キロメートル、南北2キロメートルの範囲で広がる小田原城跡。本市は、史跡小田原城跡保存活用計画を策定し、城址公園などの史跡指定地を見回り、適切な維持管理に努めるとともに、回遊路の整備や説明板の設置など、史跡小田原城跡の保存と活用に取り組み、「確実に保存し、未来に確実に伝える」ため、そして史跡を市民や来訪者の皆さんが親しみ、理解してもらうように取り組んでいると、分かりやすく掲載されておりました。 よみがえる歴史として、小田原城址公園、回遊路、小峰御鐘ノ台大堀切の写真と説明があり、ホームページでのアップも大事ですが、紙媒体により大勢の市民に伝わったのではないかと考えますし、文化財課の皆さんの熱い思いが伝わりました。 本年7月に、会派メンバーで市内の公共用地等を見学して回りましたところ、その中で「山の神堀切」を見学しました。よく手入れができていて、「このようなところが小田原にあったのだ」と感動し、そして「なぜこのような場所が作られたのか、小田原の歴史をもっと深く知りたい」との思いで、このたびの質問に至りました。 (1)小田原城総構のブランド化について伺います。 小田原市教育研究所発行の「北条五代物語」には、「氏政・氏直のころ、小田原城とその城下町を囲む総構とよばれる大きな堀やみぞをつくったんだ。総構の全長は周囲9キロメートル、わかっている部分で幅16メートル、深さ10メートル以上の大きなものがある。底には堀障子とよぶ、掘り残して造られている障壁がある。底にある堀は障子堀とよばれるつくりがあり、小田原北条氏が多く用いた堀のつくりの特徴になっている。この堀があったから、豊臣秀吉も簡単には攻めることができなかったんだ」とあります。今でもおよそ400年前のものが残っているのには驚きますが、「小田原市のいろいろなところに名残が残っているんだよ」とあり、先月8月末に「小田原城総構散策マップ」を基に井細田口からスタートし、稲荷森、香林寺山西、板橋口、山王口、蓮上院土塁など、ほとんどのスポットを見て回りました。 このような広大な範囲をよく手入れと管理がされていること、ましてや数百年の歴史を考えれば、小田原の先人たちが歴史と文化を大切にしてこられたことに敬意を表する気持ちでいっぱいになりました。 北は、箱根外輪山から延びる丘陵地、東西の低地は河川から生まれた河岸段丘と低湿地帯、そして南は相模湾といった防護性の高い自然地形を背景に、堀と土塁を巡らせた「土」でできた城が小田原城総構です。北条氏の時代が終わっても、小田原城総構は、その後のお城のあり方と、後の城下町、現在の都市構造にまで変革をもたらした城と言われております。最近はテレビ番組にて様々アピールがされています。地元に住んでいながら知らないということは「もったいない」という言葉が頭をよぎります。 例えば、城下町おだわらツーデーマーチのコース等において各スポットに説明員を置き、小田原の歴史を感じながら、観て、聞いて、知っていただくなど、様々なアイデアで小田原城総構をもっと身近に、そしてもっと価値を高めていくようにしていかれないかと考えます。 守屋市長は、御自身の公約に「総構をブランド化」と掲げておられましたが、どのようにして実現されようとしているのかお伺いいたします。 (2)小田原城を中心とした回遊性の促進について伺います。 2種類の回遊性について伺いますが、一つ目は、小田原駅東口にいよいよ「ミナカ小田原」が誕生、プレオープンいたします。城下町風の夢のあるすてきな外観で、小田原駅周辺の活気が出てくることを期待します。また、小田原三の丸ホール、観光交流センターなどの完成も楽しみです。市民も含め、観光客が小田原駅から「ミナカ小田原」へ、小田原城を見学して終わりではなくて、市内を回遊して小さな昔ながらの商店もますます潤うようにしていかなければなりません。また、地下街「ハルネ小田原」も同様です。 総合戦略の中には、「地域の魅力に係る情報発信と回遊性向上に向けた取組」とありますが、今後どのようにしていかれるのか伺います。 小田原駅からの小田原城周辺の回遊性、漁港エリアや板橋・南町かまぼこ通りの回遊促進、経済発展、人の流れをつくるために、本市はどう対策を打っていかれるのかお伺いいたします。 二つ目は、歴史と文化の面からの回遊性についてです。現在、各史跡指定地を結び、安全に散策できるように回遊路の整備をされています。八幡山古郭では県立小田原高校の東側を通る回遊路の整備。また、来年4月には清閑亭土塁と新堀土塁を結ぶ「小田原城天神山回遊路」が開通します。大勢の方に、活用される史跡など小田原の歴史を散策していただくために、市は今後どのような工夫をされていかれるのかお伺いいたします。 続いて、(3)御用米曲輪の整備と今後について伺ってまいります。 小田原城に向かって歩いていくと、旧野球場であった小田原城跡御用米曲輪があります。小田原城天守閣の北側にあり、江戸時代の絵図によれば幕府の米蔵が立ち並んでいました。また、平成22年から平成27年に行われた発掘調査においてその米蔵が発見されたほか、北条氏の戦国時代の庭園跡を構成する切石敷遺溝などが見つかりました。 江戸時代と戦国時代の二つの時代の遺跡が発見できたことは画期的なことです。土塁の整備が一部完了して、城址公園の北側通路途中から北西土塁への入場が可能になりました。しかし、広大な御用米曲輪は、周りから見ていると何をしているのか分かりにくいと感じています。 ここで質問いたします。本市は、御用米曲輪を将来に向けてどのようにしていかれるのか、いつ頃までをめどに何を作り、どのように整備していかれる予定なのかお伺いいたします。 そのために、今の状況は、この段階であるということを、途中の段階でも伝わるようにしていくべきだと考えますが、市長はどのように考えられますかお伺いいたします。 (4)環境整備と小田原城及び城跡の魅力向上についてお伺いいたします。 御用米曲輪の横を歩くと、草が生い茂っているのが気になりました。どうしても、雨が降ればまたすぐに草も勢いを増します。元は球場だっただけに広い場所での管理にも御苦労があるとお察しいたします。また、城址公園内や周辺のトイレも外にありますので、害虫や汚れも目立ちやすいために清潔を保つことに努力されていると考えます。トイレがきれいであることはとても重要で、桜や菖蒲の咲く頃や紅葉や菊など、また見に来てみようと思うリピーターが増えるのではないかと思います。小田原城及び城跡は広範囲で自然が豊かなゆえに、草や木の成長で植栽にも気を遣うと思います。 第2期総合戦略の施策の中に、「歴史的環境整備とも連動した観光の核となる小田原城及び城址の魅力向上、管理運営」とありますが、利用者に対する環境整備をどのように行い、魅力向上に努めていかれるおつもりかお伺いいたします。 次に、(5)歴史的資源を生かした観光まちづくりと地域振興について伺います。 本市には、皆春荘や旧松本剛吉別邸、清閑亭など、明治以降の政財界人ゆかりの歴史的建造物が複数現存しております。これらの歴史的建造物は、小田原を中心に板橋・南町地区へと人の流れをつくり、まちの回遊性において重要な観光拠点となり得る歴史的資源であると認識しております。そこで、これらの建造物を保全・活用することで、本市独自の歴史的資源を生かした観光まちづくりと地域振興の実現につながるのではないかと期待しております。 全国の事例に目を向けますと、歴史的建造物にギャラリーショップ・イベントスペース等を併せた複合施設や飲食店、展示施設、会議室に利用するだけでなく、庭園を活用したガーデンウェディングを行うなど、様々な利活用が実施されております。 そこで、市内の歴史的建造物を利活用し、観光まちづくりと地域振興に生かしていくことについて、市長の見解を伺います。 さらに、これらの歴史的建造物を保全するためには、小田原城の天守閣や住吉橋の改修を地元の職人が行ったように、今後、地域で伝統工法に通じた職人の育成が重要であると考えますが、市はどのような職人育成の取組をされているのかお伺いします。 (6)北条五代のドラマ化促進について伺います。 北条氏が治めた100年は、武力だけでなく、優れた政治を行うことで人々が安心して生活を送れる国を関東につくることを目指した時代でした。領民のことを第一に考えた初代早雲の思いは、100年にわたり引き継がれていきました。小田原のまち全体を守るために総構を築いたことや、まちの人々を戦から守るために小田原城を明け渡したことなどにも、早雲の思いや目指した国づくりの姿が表れています。 その魅力を、ぜひとも大河ドラマ化できるように御尽力いただきたいと要望いたしますが、本市の取組と意気込みをお聞かせください。 大項目の2、小田原市の20年後への「地域の未来予測」について伺ってまいります。 2040年頃の日本の姿として予測されるのは、推計人口が現在より1500万人減少し、約1億1000万人となり、高齢者人口65歳以上は3900万人を超えてピークを迎え、人口比の35%を占め、85歳以上の人口は1000万人を超えます。介護需要が増加し、公共交通の必要性はさらに高まることが予測されます。15~64歳の生産年齢人口は、現在よりも約1500万人減少し、6000万人を下ります。日本の姿として社会保障費やインフラ修繕費が増大し、地方財政が逼迫することが懸念されております。 人口減少が進んでも住民に安定的な行政サービスを提供していくために、自治体はどうあるべきなのか。政府の第32次地方制度調査会は、本年6月、人口減が深刻化する2040年頃を見据えた地方行政の在り方に関する答申を、安倍晋三前首相に提出しました。人口が減少する一方で高齢者人口はピークを迎え、このままでは地方行政は立ち行かなくなるために、限られた資源と先端技術を生かし、組織や地域の枠を超えた連携で、どう地域を支えていくかという内容が提示されています。 ここで、まず初めに、質問の1点目に、本市が考える小田原市の20年後・2040年頃の姿の未来予測と課題をお伺いいたします。 続いて、持続可能な地域社会を目指すという観点から伺ってまいります。 アとして、地方創生について伺います。 人口問題や過度な東京一極集中の是正などから、国も総合戦略を閣議決定し、これを受けて、本市はこれらの動きに的確に対応し、将来の小田原市の人口動態を見据えた中、少子高齢化とともに多くの若者が都市圏に流出するなど、喫緊の課題となっている人口減少・少子高齢化に歯止めをかけ、活力ある地域社会を維持していくことを目的に、第1期から切れ目なく地方創生を推進するために、第2期小田原市まち・ひと・しごと創生総合戦略を令和2年3月に策定しました。 その目指す方向性の中に、少子化・高齢化問題などへの対応の力点に「小田原が持つ『住みたいまち』としての魅力と可能性を伝え、育てること」とありました。具体的には「『若い世代が集い、留まることを目指して、希望する職に就くことができ、子どもを産み育てやすい環境が整い、住み続けることに魅力を感じるまち』の実現に向け、人口減少もしなやかに受け止められる地域社会の『質』を高めて行きます」とあります。新しい時代の流れに合った持続可能な地域の実現を目指し、これまでの実績を踏まえつつ、さらなる本市の課題解決に向けて実効性のある総合戦略となることが期待されます。 「住み続けたいまち・魅力的なまち」とは一体どういうまちなのかと、私なりに改めて考えました。街なかには活気があり、人がよい。安全・安心に暮らせる。子育てしやすく、自然環境も豊かで、文化や美しさがある。交通の便もよい。車が運転できなくなっても公共交通が充実していて買物や病院へ行くのにも困らない。職場が通勤圏内にある。そして、高齢者になっても住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らすことができるまちと考えました。 そこでお伺いいたします。一つ目に、実効性のある総合戦略とするため、今後どのように進めていくお考えなのかお尋ねします。 二つ目に、現時点で第1期総合戦略の成果と課題をどのように認識しておられるのかお伺いいたします。 三つ目に、国は第2期総合戦略策定に当たり、まち・ひと・しごと創生基本方針において、関係人口やSDGsなど、六つの新たな視点に重点を置いて施策を推進するように示されておりますが、本市の第2期総合戦略策定に当たり、独自の視点や施策についてのお考えをお聞かせください。 四つ目に、地域の創生のために、人の交流・定住を支援する仕組みづくりや、地域に人が残る「しごとや暮らし」が大事であると考えますが、改めて市長の思いをお伺いいたします。 五つ目に、経済成長を維持していくためには、女性と高齢者の活躍推進が今後ますます求められると考えますが、本市のお考えを伺います。 続いて、イとして、地方行政のデジタル化について伺ってまいります。 地方行政のデジタル化は、深刻な人手不足を見越せば当然必要なことでありますが、今回の新型コロナウイルス感染症への対応を振り返ると、新たなリスクに備える上でも急ぐべき課題ではないかと考えます。また、デジタル化を進めていく前提として、今の行政手続のさらなる効率化を目指す必要があると考えます。本市の見解を伺います。 ウとして、公(自治体)・共(地域)・私(民間)の連携についてです。 これからは一つの自治体だけで住民サービスの全てを提供できる時代ではなくなりつつあります。本市には地域コミュニティ組織の取組がありますが、さらにNPOや民間企業などとの公・共・私の連携を深めて、サービスの内容ごとにプラットフォーム(政策の実施基盤)を立ち上げることも必要になると考えます。 本市の地域コミュニティ組織の活動は盛んであると認識しておりますが、まずは、住民や地域社会の担い手同士が「地域の未来予測」を共有しながら、どのような未来を実現していきたいのか、会議や日々の活動の中で議論を積み重ねていくことが重要だと考えますが、本市の見解を伺います。 あわせて、人口減少が進んでも安定的な行政サービスを提供するために、市町村の広域連携が必要と考えますが、守屋市長はこの点をどのようにお考えになるのかお伺いいたします。 最後に、今後、インフラの老朽化や人手不足といった課題に対応するために、客観的なデータを基に市の行政需要や経営資源に関する「地域の未来予測」を「あるべき姿」として、住民やNPOなどと議論を積み重ねて作成していくお考えはないのかお伺いいたします。 大項目3、市庁舎内における「ご遺族支援(おくやみ)コーナー」設置促進について伺ってまいります。 昨年9月定例会の一般質問において、死亡時の御遺族の手続負担軽減のための取組について質問いたしました。 御家族がお亡くなりになったときは、悲しみも癒えぬうちに連絡等準備をし、葬儀を執り行います。慌ただしい中、事務手続など、何から手をつけたらよいのか分からないという不安と負担感について御相談をお受けすることがあります。高齢化が進み、御遺族が御高齢者しかいない世帯であれば、なおさら不安も大きいものだと考えます。 その解決策として、昨年も質問、提案いたしましたが、「ご遺族支援コーナー」の設置について伺います。 県下でいち早く導入された大和市は、御遺族が電話などで亡くなられた方のお名前を伝えると、市庁舎内の保険、税金、介護保険、国民年金などたくさんの事務諸手続が必要な部署から、「ご遺族支援コーナー」にオンラインで連絡が来て、手続の必要の有無が分かります。その方にとって必要な手続を知り、コンシェルジュが御案内や書類手続の困難な方へのお手伝いをします。市役所滞在時間も大幅に短縮し、アンケート調査の結果、対応の満足度は、回答された方の92.2%が「満足」と回答されました。 行政にとっては、スタート時は工夫と人と場所の確保、全庁内挙げての協力・応援がなくては実現しにくいかと思われますが、誰もが避けて通れない御家族の死亡時の手続の不安と御負担を、ここに行けば安心に変えられます。少ない予算で時代に即した大きな行政の住民サービス、誰もが助かります。 昨年は、市内各支所が廃止となり、幾らコンビニエンスストアや郵便局で住民票などが発行できるとしても、できる手続が減りました。広い地域の小田原市です。市役所までバスを乗り継ぎ、またはタクシーでお越しになる方もたくさんいらっしゃいます。 市庁舎内に(仮称)「ご遺族支援コーナー」設置を求めますが、市長はどのようにお考えになりますかお伺いいたします。 大項目4、新生児難聴の早期発見・早期療育への取組について伺ってまいります。 こちらも昨年9月定例会の一般質問にて質問し、今回で2回目となります。 先天性難聴の発見の遅れによる支障は、言葉の発達の遅れ、コミュニケーションに支障、それから音や声が聞こえなければ意味が分からず、物の理解が遅れる等にて、発達障がいと勘違いされることもあります。産まれて間もない新生児の耳が聞こえているかなどは周りが気がつきにくいため、専門の聴覚検査が必要です。早期発見により、早期補聴器の装着や適切な指導により、言語発達面にも効果があると言われております。聴覚検査を任意で実施しますが、約2割の方が受診しておりません。その理由として考えられるのは、検査が自費で高額であることが考えられます。万が一、高度難聴であることもあるのです。 皆さんに検査を受けられるように促す必要性がありますが、本市として全ての赤ちゃんに聴覚検査を受診できるように公費負担をしていくおつもりはないのかお伺いして、登壇しての質問を終わります。(拍手) ○議長(奥山孝二郎君) 市長、登壇願います。     〔市長(守屋輝彦君)登壇〕 ◎市長(守屋輝彦君) 16番楊議員の御質問に順次お答えをしてまいります。 初めに、総構のブランド化について質問がございました。戦国時代最大と言われる規模を誇った小田原城総構は、これまで、史跡を順次公有化し、遺構を保護するとともに、その一部を整備し、公開しており、城下町おだわらツーデーマーチや史跡散策等で利用されております。また、回遊路を整備し、遺構の理解を深めるための説明板や案内板等を各所に設置しております。最近では様々なメディアに取り上げられ、社会的なニーズと世間の関心が高まってきている表れだと感じております。これを好機と捉え、今後も引き続き遺構の保存や史跡の整備等を行うとともに、活用に向けたソフト戦略を推し進め、市民にもその価値をしっかり認識していただき、総構のブランド化を進めてまいります。 次に、地域の魅力発信と回遊性の向上に向けた今後の取組について質問がございました。新たな施設ができることで観光動線は変わってまいりますが、小田原城と小田原駅との往復だけでなく、点として存在している観光スポットをつなげ、周辺商店等との連携も強化して、街なかを回遊できるようにしていきたいと考えております。観光スポットをつなげる役割として、観光交流センターや小田原駅観光案内所、ハルネ小田原、ミナカ小田原が連携しながら地域の魅力を発信し、街なかを回遊させてまいります。また、滞在時間を長くし、回遊性を向上させるために、体験型コンテンツの開発や案内板の整備、まち歩き観光などを推進してまいります。 次に、小田原駅から小田原城周辺、板橋・南町地区、漁港エリアへの回遊促進に向けた今後の取組について質問がございました。観光スポットにおける周辺エリアのPRのみならず、観光交流センターでは、市内の観光スポットをはじめ、体験型コンテンツを含めた小田原ならではの産業や歴史、文化、食などの情報提供を効果的に行うことにより、回遊を促進してまいります。また、移動手段として、手軽にかつ効率的に各エリアを回遊でき、添乗ガイドが各観光スポットの魅力を発信している観光回遊バスや、移動範囲の広いレンタサイクルの利用促進も考えております。 次に、史跡など小田原の歴史を散策するための工夫についての質問がございました。総構については、現在、史跡小田原城跡保存活用計画を策定する中で、丘陵部だけでなく、市街地化の進んだ低地部にも土塁やその痕跡が残っていることが明らかになってまいりました。整備をしてきている回遊路も含め、これらを活用し、来訪者が新たな小田原城跡の魅力や小田原の歴史を知っていただけるように工夫してまいります。 次に、御用米曲輪の整備予定について質問がございました。平成31年3月に北西土塁の整備が完了し、現在、北東土塁の整備を行っているところでございます。御用米曲輪については、発掘調査で、他に類例を見ない小田原北条氏時代の重要な遺構である庭園跡が発見されたため、曲輪の北東側を江戸時代、南西側を北条氏時代としてエリアを分けて二つの時代を複合的に保存・整備することとし、来訪者がその違いを理解できるような整備方法を検討しているところでございます。そのため、整備の完了までにはある程度の年月を要するものと考えております。 次に、御用米曲輪の整備状況の周知について質問がございました。整備状況につきましては、北東土塁の植栽管理の状況も含めて、広報等により周知を図ってまいりましたが、今後も引き続き整備の進捗に合わせ、様々な手段により情報発信をしてまいります。なお、発掘調査の成果等については、概要報告書を作成するとともに、写真パネルにして小田原城北側通路に掲出するなど、周知に努めているところでございます。 次に、小田原城及び城跡の環境整備について質問がございました。小田原城址公園をはじめとした城跡は、歴史観光の拠点であるため、観光客などの利用者に配慮した環境整備が求められます。令和2年度は清掃や草刈りなどの日常的な管理業務に加え、小田原城址公園内の老木の桜の植え替えや、老朽化が進んでいるトイレや街路灯の改良事業などを行っております。こうした取組により、利用者の安全性や快適性を向上させ、魅力ある施設づくりを進めてまいります。 次に、歴史的建造物を観光まちづくりと地域振興に生かしていくことについて質問がございました。昨年度、歴史的建造物の利活用について民間事業者等へのヒアリングを実施いたしました。その結果を踏まえまして、歴史的建造物を地域観光資源と捉えて、まちの回遊拠点とするため、民間活力を導入し、利活用することを検討しております。今後も歴史的建造物の利活用を進め、魅力あるまちづくりを推進し、地域振興に取り組んでまいります。 次に、歴史的建造物保全のための職人育成について質問がございました。職人育成につきましては、市内の歴史的建造物を教材に、伝統工法による修復など、実践型の研修を実施しております。また、市内高校生を対象に、職人から直接指導を受ける実習も行っております。これまでに延べ400名以上の職人、約100名の高校生が研修や実習に参加しております。これらの取組により、伝統工法を地域で着実に継承してまいります。 次に、北条五代の大河ドラマ化に向けた取組と意気込みについて御質問がございました。北条氏ゆかりの14市町で構成された北条五代観光推進協議会では、北条氏の様々な偉業や魅力を発信するとともに、大河ドラマ化への要望活動を19年継続して行っております。また、地域の盛り上がりも重要と考え、北条五代PR冊子の作成や、各市町を回るスタンプラリー、インスタグラムフォトコンテストなどを行い、誘客や情報発信を展開しております。残念ながら、令和4年まで大河ドラマ化は決まっておりますが、大河ドラマ化への署名活動など、より一層地域全体で大河ドラマ化への機運を高め、実現を目指してまいります。 次に、2040年頃の小田原の姿と課題について御質問がございました。第32次地方制度調査会の答申では、2040年頃を展望した中で見えてくる変化や課題のほか、地域住民の暮らしを持続可能な形で支えていくための行政の在り方や、今なすべきことを提示しております。2040年にかけて顕在化する人口構造の変化やインフラの老朽化、先端技術の進展、価値観の多様化などの変化や課題は、本市においても同様に起こり得ると捉えており、その認識も踏まえながら、今年度、「世界が憧れるまち“小田原”」を実現するためのロードマップを策定してまいります。 次に、まち・ひと・しごと創生総合戦略について質問がございました。本市では、人口減少・少子高齢化に伴う諸問題の解決を目標に、第2期総合戦略を今年度からスタートしております。所信表明でもお示ししたとおり、「コロナ禍」において小田原のポテンシャルをさらに引き出し、「生活の質の向上」と「地域経済の好循環」の両輪を回していくことが市政運営の基本であり、デジタル技術活用や公民連携をエンジンに各取組を加速させてまいります。また、事業を進めていく上で必要となる財源については、地方創生推進交付金等を積極的に確保しながら事業の見直しも進め、実効性を担保してまいります。 次に、第1期総合戦略の成果と課題について質問がございました。総合戦略では、効果的・効率的に施策を推進するため、行政内部だけではなく、外部有識者による効果検証を毎年度実施しております。第1期最終年度の効果検証では、地域コミュニティ組織における事業数や、若年者雇用支援事業参加者における就労者数など、目標を達成した取組や、順調に推移している取組が半数を超え、外部有識者からは一定の成果が得られたとの評価を得ております。一方で、国の総合戦略においても、是正されなかった東京一極集中により、若年層の流出に歯止めがかかっていないことは、引き続き大きな課題と捉えております。 次に、第2期総合戦略における本市独自の視点や施策について質問がございました。本市の第2期総合戦略では、基本目標の達成に向け、令和元年度に策定した小田原市SDGs未来都市計画の内容と整合させ、民間の主体的な取組と連携して課題解決を図ることとしております。また、具体の取組といたしましては、おだわら子ども若者教育支援センターを活用した、子育てにおける切れ目のない相談体制・見守り体制の充実についても新たに戦略に位置づけ、これまで以上に子どもを産み育てやすい環境づくりに努めていくこととしております。 次に、地域の創生における「しごとや暮らし」の重要性について質問がございました。本市の総合戦略が目指す方向性は、若い世代が集い、とどまることを目指して、希望する職に就くことができ、子供を産み育てやすい環境が整い、住み続けることに魅力を感じるまちの実現であります。これは、16番楊議員が示された「しごとや暮らし」の重要性に通じるものであり、「生活の質の向上」と「地域経済の好循環」の両輪により、小田原に人を呼び込み、市民の皆様が住み続けたいと思っていただける小田原を実現してまいりたいと考えております。 次に、女性と高齢者の活躍推進について質問がございました。人口減少や少子高齢化に伴い、労働力や消費力が低下していくことが懸念されておりますが、持続可能な暮らしを実現していくためにも、ジェンダー平等の観点を踏まえた女性活躍に加え、生き生きと暮らし続けるための高齢者の活躍が求められていると捉えております。本市におきましては、これまで取り組んできた女性活躍推進事業やアクティブシニア応援ポイント事業などを進化させつつ、誰もが活躍でき、誰もが生き生きと暮らせるまちを目指してまいります。 次に、地方行政のデジタル化について質問がございました。地方行政のデジタル化は、行政手続のオンライン化をはじめ、行政サービスに係る一連の業務を様々なICT技術を活用して処理をするものとされております。本市では、これまで電子申請や公共施設の予約等でインターネットを活用した行政手続のオンライン化を進めるとともに、業務の見直しやAIやRPAといった新しいICT技術を活用するなど、行政事務の効率化にも取り組んでまいりました。今後も、市役所に来庁しなくても手続可能な申請や届出を拡充するなど、行政のデジタル化を一層推進してまいります。 次に、「地域の未来予測」の共有について質問がございました。本市の地域別計画は、総合計画「おだわらTRYプラン」と対をなしたもので、平成21年度の策定、平成28年度の改定に際し、各地区の地域活動団体等の関係者が一堂に会して議論を重ね、地域の特色や課題、地域の将来像を描いたものであります。また、地域コミュニティ組織では、地域別計画に記載された様々な取組について日頃から話合いを進めていただいております。これらの取組は、まさに「地域の未来予測」の共有と議論の積み重ねに当たると考えており、今後も民間事業者などとの連携も視野に入れながら、しっかりと支援してまいります。 次に、自治体間の広域連携について質問がございました。人口減少・少子高齢化が進む中にあって、持続可能な行政サービスを提供するためには、自治体間の連携はますます重要になると考えております。県西地域においては、住民の生活圏が一体的であることから、これまでも約半世紀にわたり課題を共有し、その解決に向け、様々な連携に取り組んでまいりました。今後も相互の行財政基盤の強化や市民サービスの拡充に資するものとなるよう、自治体間連携に取り組んでまいります。 次に、「地域の未来予測」の作成について質問がございました。「地域の未来予測」につきまして、地方制度調査会は、行政需要や経営資源に関する見通しを客観的なデータを基に整理し、目指す未来像やその実現に向けた方策を多様な主体と議論、共有し、実現するために「地域の未来予測」を活用すべきとしております。既に、本市総合計画をはじめ各種個別計画の策定に当たっては、客観的なデータを基に、多様な主体と議論するプロセスを取っておりますが、持続可能な行政サービスを提供し続けていくためには、地域の未来の姿を予測し、活用していく必要があるものと考えております。 そして、市庁舎内における「ご遺族支援(おくやみ)コーナー」についての質問がございました。死亡に伴う手続を行うための専用窓口である「ご遺族支援コーナー」については、本年5月に国から示されたガイドラインを参考にしながら、導入先進市の取組を調査研究し、現在、本市における御遺族支援の在り方を精査しているところであり、来年度の設置に向けて検討を進めております。「ご遺族支援コーナー」設置に当たりましては、人員の配置や設置場所の確保のほか、関係部局が連携し作り上げていくことが重要であり、この取組は政策集にある「市役所内の縦割りを市民に押しつけない、ワンストップ窓口の創設」につながるものでございます。 そして、新生児聴覚検査の公費負担について質問がございました。新生児聴覚検査は、難聴を早期に発見し、早期療育につなげることで、言語発達等が促され、子供の生活の質の改善につながる重要な検査と認識しております。現在、約2割の新生児が検査を受けられていないことは、検査の必要性が認識されていないことと、検査費用の負担感が要因であると捉えております。そこで、引き続き、母子健康手帳の交付時からその啓発に努めるとともに、助成を始めた県内他市における効果等も確認しながら、公費負担の実施については検討してまいります。 以上をもちまして、16番楊議員の御質問に対しての答弁とさせていただきます。-----------------------------------
    ○議長(奥山孝二郎君) この際、申し上げますが、本日の会議時間は、会議規則第10条第2項の規定により、これを延長いたします。----------------------------------- ◆16番(楊隆子君) 一定の御答弁ありがとうございました。 まず、お城を中心としたまちづくりについて質問させていただきますが、先ほど御用米曲輪の今後と今の段階を知らせていくことについて御答弁いただきましたが、せっかくの小田原城と城跡、総構という誇るべき歴史文化遺産が小田原にはありますので、大勢の人に知ってもらえれば私もうれしいです。これまでも総構マップや観光パンフレットの掲載など、広報で取り組まれていることは存じております。ここで、総構のブランド化を推し進めて小田原城をもっとPRしていくことが必要であるかと考えます。ぜひ、小田原城、総構などの歴史文化遺産を市民や観光客に知っていただけるように、さらに周知に取り組んでいただきたいと、これは要望します。 歴史的建造物の利活用については、観光まちづくりと地域振興に寄与するものですので、ぜひ本市でも推進していただきますように、また、職人育成については、職人の研修だけではなくて、市内の高校生を対象とした実践型の実習にも取り組まれているとお伺いしました。伝統工法が将来にわたって地域でしっかりと継承されるのではないかと期待します。継続しての実施を検討していただけるように、これも併せて要望いたします。 歴史的資源を生かした観光、まちづくりと地域振興についてなのですが、歴史的資源はハード面だけではなくてソフトの面からも地域振興につなげていけることがないのかなと考えます。例えば橘地区で古くから栽培されている下中たまねぎがありますが、知る人ぞ知る、本市の名産品です。これをさらに地域振興に結びつけていきたいものです。 そこで、一つの例を挙げれば、本市の姉妹都市である東京都八王子市には八王子ラーメンという名物がありますが、八王子ラーメンの特徴は刻みタマネギが具材に用いられているとのことです。この刻みタマネギに本市の下中たまねぎを使用していただくことで、本市と八王子市の姉妹都市としての絆が深まるだけでなく、消費拡大という相乗効果によって、本市と八王子市両市の地域振興につながるのではないでしょうか。 そこで、まずは姉妹都市間の交流を生かした地域振興についての本市の見解を伺います。 ◎文化部長(石川幸彦君) 姉妹都市間の交流を生かした地域振興についてということで、具体的な例を挙げて御質問いただきました。本市の国内姉妹都市でございますが、北条氏ゆかりの東京都八王子市、埼玉県寄居町、そして二宮尊徳先生ゆかりの栃木県日光市の三つがございます。これまでイベント参加や文化交流を通じまして、各市町とは良好な関係を築いてきております。今後は、地域振興という観点からも、各姉妹都市の特色を生かした新たな交流の在り方について検討いたしまして、交流のさらなる充実を図ってまいりたいと考えております。 ありがとうございます。 ◆16番(楊隆子君) 歴史的資源を生かした観光まちづくりと地域振興についてはいろいろな方法が考えられると思います。毎年5月に開催する北條五代祭りの二の丸広場などで行われる、食事などができるイベント広場がありますが、小田原市のタマネギ入りの八王子ラーメンを販売すると、人気が出るかもしれません。ぜひとも市では、よい機会と捉えて様々なアプローチを試みていただいて、観光まちづくりと地域振興に取り組んでいただきますようお願いいたします。 総構のブランド化もぜひ進めていただきまして、本市の価値をさらに上げていただきたいと思いますし、大河ドラマ化が実現するとたくさんの人が小田原市に来てくれて、小田原市の中を回遊してくださる、宿泊してくださる。そして小田原市民もとてもうれしい、そうなると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。 それから、順番が変わりますが、「ご遺族支援(おくやみ)コーナー」についてなのですが、前向きな御答弁を本当にありがとうございます。国でもデジタル庁などができるとお伺いしていますが、ある意味ではこれもデジタル化につながる部分もあるのかなと思います。デジタル化することによって、御遺族の記載する書類を減らすことができたり、また、それによって御遺族の御負担を軽減できることにもつながるのではないかなと思います。スタート時に至るまでに創意工夫と庁内挙げての協力は本当に必要なことではないかと思うのですが、小さな予算で不安を安心に変えられる大きな住民サービスではないかと思いますので、早期実現をよろしくお願いいたします。 続きまして、新生児聴覚検査の公費助成についてなのですが、もしも聴覚障害があったとしたら、特にゼロ歳から1歳までの間に情報が耳から入らなければ、物の意味を知ることができなくて成長が阻害されるし、また事故にもつながる。全てそのようにかかってくることだと思います。市の御尽力によって、生まれてくる全ての赤ちゃんが検査を受けられるようになれば、万が一、その障がいが見つかった場合は、早期発見できて補聴器をつけることができて、早期療育につなげることができる。一人の人間が成長していくに当たって大きな違いが出てくると思います。実現に向かう方向で検討ということですので、ぜひともこれもよろしくお願い申し上げます。実現する可能性があるので、これは再質問しないで要望といたします。 最後に、2040年の「地域の未来予測」について再質問してまいります。 様々答弁いただきました。まず、デジタル化促進についてなのですけれども、行政手続以外のところで地域のデジタル化を進めていくお考えはないかお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 地域のデジタル化の推進でございますけれども、国では現在、デジタル・ガバメント実行計画に基づき、安全で安心な暮らしや豊かさを実感できる社会を実現するため、社会全体のデジタル化を推進しているところでございます。これから、恐らく国も相当デジタル化について踏み込んだ、組織も新しくできるというふうにも報道等で伺っておりますので、これを受けまして、本市においても、先進的に取り組んでいる民間企業や大学などと連携を進める中、未来に向けて市民の暮らしが一層便利で快適なものとなるよう、様々な分野でデジタル技術を取り入れてまいります。 以上です。 ◆16番(楊隆子君) ありがとうございます。 地域に人が残る定住を支援する取組として、例えば小田原駅は鉄道5社があり、都会への交通アクセスもよいという特徴がありますが、大学などを卒業後、小田原に就職していただいて、または小田原に定住し市外に通勤するなどの若者たちを呼び込むために、何か支援策などは考えられないのかお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 若者に対する支援でございますけれども、若年層を中心とした東京圏への人口流出は、全国の自治体が同様に抱える課題でございます。本市においては、特に進学や社会人になるタイミングでの転出が顕著でございます。「コロナ禍」におきましては、過密から分散にシフトするなど社会の在り方が変容し、東京で勤務することの意味も問われてくるのではないかというふうに考えております。こうした機会をチャンスと捉えまして、交通が至便で自然環境が豊かである小田原に住み続けることに魅力や喜びを感じてもらえるよう、生活環境や働く環境の整備を推進してまいりたいと考えます。 以上です。 ◆16番(楊隆子君) 若者の流出が本当に課題だなと思うのですけれども、例えば学生時代に奨学金をもらっていた若者に対して、卒業後、他市へ就職しても、小田原に在住の人には、小田原にいる期間は奨学金を免除するなど、いろいろ思い切った人獲得の作戦を考えていくことなどの検討余地はないか。小田原で家庭を持つ若い人たちが増えることは何にも代え難い財産となると考えますが、本市はどのようにお考えになりますかお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 奨学金の免除制度についてでございますが、国は奨学金を活用した大学生等の地方定着について促進を図っているところでございまして、令和元年度現在では、全国の32府県、355市町村において奨学金免除制度が設けられております。若年層流出の課題を抱える本市にとりまして、この制度の実施は選択肢の一つと考えられますが、先ほど答弁いたしましたことに重なりますが、まずは魅力ある生活環境と働く環境の整備、そして学ぶ環境も加え、「住む・働く・学ぶ」の三拍子がそろった地域をつくり上げ、若年層流出に歯止めをかけてまいります。 以上です。 ◆16番(楊隆子君) 総合戦略の中にも、また市長のお言葉の中にもありましたが、「住む・働く・学ぶ」とありましたけれども、この何年かで会社がたくさん撤退されたかなと思うのですけれども、「働く」とは、具体的に小田原市としてはどのような対策を考えておられるのかお伺いいたします。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 「働く」という意味、働く環境の整備をしていくということでございますけれども、確かに、これまで小田原市もいろいろな企業が流出して、ある意味で働く環境がなくなってきたという事実は受け止めなければなりませんが、これからの話といたしましては、「コロナ禍」において、社会全体が既に新しい生活様式、また働き方改革など、様々な変容が生まれているところでございます。そしてそれを受けまして、多くの企業ではテレワークやサテライトオフィスの導入などを既に取り入れて、それが実行に移っている状況でございます。こういった企業の動きを捉えまして、本市の住みやすい・働きやすい環境を積極的にアピールしていくとともに、これまで以上に企業誘致、それからこれは郊外だけではなくて、中心市街地における創業支援、このようなものにも力を入れていくことで、働く環境のさらなる改善を図ってまいります。 以上です。 ◆16番(楊隆子君) 最後の質問となります。 20年後といっても先のことのように感じるかもしれませんが、実はすぐにやってまいります。少子化・高齢化・社会保障費の枯渇・人手不足・人材不足など様々、行政の力だけでは立ち行かなくなることが予測されている。その上、防災面もそうですし、新型コロナウイルス感染症の状況もまだ先が見えていません。地域住民や行政や企業、NPO団体などの全ての皆さんが将来に向かっての課題などを共通認識し合って、共に課題を解決していけるように知恵を出し合って、手を取り合って乗り越えていかなければならない。途中10年後へのSDGsの達成がなぜ必要なのかを自覚し合うことにもつながると思います。社会保障費の増大と自覚ができれば、病気を抑制していこうとか介護予防していこう、健康診断を受けよう、ラジオ体操やウォーキングを地域でやっていこうなど、様々考えていけるかもしれません。だからこそ、「地域の未来予測」が大事だと思います。 持続可能な小田原市にしていくために、限られた予算の中で必要なこと、そして削減していくことなどの正しい判断も求められてくると思いますし、私自身も議員として成長していかなければならないなと思います。 最後に、市長の御所見をお伺いし、質問を終わります。 ◎市長(守屋輝彦君) お答えをいたします。 「先の見えない時代」と言われてきました。さらに、今回の新型コロナウイルス感染症でこの先がどうなるのであろうかと、本当に誰もが予測するのは難しい時代になってきているということは事実でございます。 その中で、2040年はどういう姿になるのか。このまま行ったらどうなるか、様々な予見というものも出ているわけでございますけれども、こういう時代だからこそ、将来実現したい、こういうまちになりたい、こういう社会にしていくのだという思いを描きまして、そしてそこを描いた後、そこを起点に今度は戻ってくる、バックキャスティングをする。そこに到達するためにはどういうふうに歩んでいけばいいのかということを考えることが必要であります。このことは、「地域の未来予測」と全く同じことだというふうに思っております。 2040年の地域社会は、人口構造の変化やインフラの老朽化、先端技術の進展、価値観の多様化、それから資源の制約など、これまで私たちが経験したことのない多くの変化が見込まれております。私は、これは変化だというふうに思います。脅威ではあるけれども、この変化をどういうふうに捉えていくか。これが、本市においてもSDGsに長く取り組んできておりますが、このゴールである2030年に向けて、まさに「世界が憧れるまち“小田原”」の実現を目指しておるところでございまして、これはこの先、2030年の先にある2040年の小田原の姿も視野に入れながら、今、何をするべきかを考えていきたいと思います。 以上です。 ○議長(奥山孝二郎君) 以上で本日予定しておりました一般質問は全て終了しましたので、明日17日午前10時から続行することにいたします。 なお、改めて再開の御通知をいたしませんので、御承知ください。 それでは、本日はこれをもって散会いたします。     午後5時14分 散会...